1.滋賀県は6月5日、「滋賀県ジェンダー平等債」の発行条件を決定し、即日完売した。
2.発行額は50億円で、女性活躍推進企業認証制度の認証企業数を目標に設定する。
3.目標未達の場合、県はジェンダー平等に資する事業の基金へ発行額の0.1%相当額を追加拠出する。

滋賀県は6月5日、地方公共団体初となる「滋賀県ジェンダー平等債」の発行条件を決定した。正式な銘柄名は「滋賀県第4回サステナビリティ・リンク・ボンド公募公債(滋賀県ジェンダー平等債)(5年)」。発行額は50億円で、機関投資家向けに発行する。県によると、多くの投資家から注文が入り、同日中に完売した。
発行日は6月26日、償還日は令和13年6月26日、発行利率は2.069%。引受金融機関は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社、大和証券株式会社、株式会社滋賀銀行。需要面では、県内外の投資家から約60億円のオーダーが集まり、参加投資家数は34件だった。6月5日正午時点で、29件の投資家が投資表明を行った。
今回の債券で滋賀県が設定した目標は、女性活躍推進企業認証制度の認証企業数である。令和11年度末、つまり2029年度末までに、三つ星企業27社、二つ星企業277社とする。令和8年5月末時点では、三つ星企業16社、二つ星企業151社であり、県は「パートナーしがプラン2030」の令和12年度末目標を基に今回の水準を設定した。目標を達成できなかった場合、県はジェンダー平等に資する事業の財源となる基金に、債券発行額の0.1%相当額を追加拠出する。
サステナビリティ・リンク・ボンドは、資金使途を特定の事業に限る通常のグリーンボンド等とは異なり、発行体があらかじめ設定したKPIやサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲットの達成状況と、債券の財務的または構造的な条件を連動させる仕組みをとる。環境省のグリーンファイナンスポータルも、選定したKPIが事前に定義したSPTを達成するか否かに応じて、債券の特徴が変化することを基本的な考え方として説明している。
人権上の論点は、資金調達の成功そのものではなく、ジェンダー平等の成果をどの指標で測り、県内企業の行動変化につなげるかにある。女性活躍推進企業認証制度の認証企業数は、行政が把握しやすい指標であり、企業の制度整備を促す効果を持つ。ただし、認証数の増加だけでは、賃金格差、管理職登用、育児・介護との両立、非正規雇用の処遇など、働く場での実質的な平等をすべて測れるわけではない。
滋賀県債では、国内自治体が発行するESG債のうち、サステナビリティ・リンク・ボンドとして0.02%のプレミアムが発現したと県が説明している。金融市場がジェンダー平等を資金調達条件の一部として評価した点は、自治体財政と男女共同参画政策を接続する試みといえる。今後は、滋賀県が三つ星27社、二つ星277社という目標の達成状況をどのように開示し、基金への追加拠出の有無を含めて県民や投資家に説明するかが、制度の信頼性を左右する。
滋賀県「滋賀県ジェンダー平等債の発行条件の決定について」
URL:https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/350893.html

