1.反差別国際運動(IMADR)は6月5日、「国連人権アップデート No.40」を公開した。
2.水・衛生・環境に関する人権ベースのアプローチと、インドネシアの家事労働者保護法を扱っている。
3.水資源や家事労働を、生活基盤・労働条件・ジェンダー格差の問題として整理する内容となっている。

反差別国際運動(IMADR)は6月5日、「国連人権アップデート No.40 水、衛生、環境に関する人権/インドネシアで家事労働者に関する新法可決」を公開した。今回のアップデートは、4月10日に国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が紹介した水・衛生・環境分野の政策概要と、4月22日にフォルカー・テュルク国連人権高等弁務官が歓迎したインドネシアの家事労働者保護法を取り上げている。
水と衛生をめぐっては、UN-Waterの政策概要書が、世界で約21億人が安全に管理された飲み水を利用できず、約34億人が安全に管理された衛生設備を利用できていないと指摘した。OHCHRは、各国が国際人権上の義務に基づき、水と衛生サービスの利用可能性、アクセス可能性、負担可能性、受容可能性、質を、差別なく保障しなければならないと説明している。
IMADRの紹介では、環境破壊や紛争に加え、データセンターの急増も新たな脅威として示された。OHCHRの記事は、1メガワット規模のデータセンターがサーバー冷却だけで年間2500万リットルを超える水を消費し得るとし、これは30万人の1日の水消費量に相当すると説明している。水をめぐる問題は、干ばつや貧困地域だけの課題ではなく、デジタル経済、企業活動、都市インフラとも結びつく。
政策概要は、バングラデシュ沿岸部の事例として、住民が資金を出し合って気候変動に強い給水施設を整備し、訓練を受けた女性たちが管理を担った結果、水系感染症の減少や少女の欠席減少につながったと紹介する。コスタリカでは、大量使用者に高い料金を課し、貧困世帯には優遇料金を適用する水道料金改革が取り上げられた。ここでは、水を単なるインフラ整備の対象ではなく、参加、説明責任、ジェンダー平等、貧困対策を含む権利保障の問題として扱っている。
インドネシアについては、議会が家事労働者の保護に関する法律を可決したことを、テュルク高等弁務官が歓迎した。IMADRは、同国の家事労働者が約420万人に上り、その大半が女性であること、新法が家事労働者をインフォーマル経済から正規の労働者として保護する枠組みを設けることを紹介している。採用、労働条件、職業訓練、医療給付、失業手当のほか、斡旋業者による賃金天引きや18歳以下の子どもの家事労働者としての雇用禁止も盛り込まれている。
人権上の論点は、水・衛生・環境、家事労働のいずれにも、制度から見えにくい人々が集中している点にある。安全な水を得るための時間負担は女性や少女に偏りやすく、家事労働は家庭内で行われるため、労働時間、賃金、暴力、児童労働が外部から把握されにくい。IMADRの国連人権アップデートNo.40は、生活に不可欠な資源と家庭内労働を、国際人権基準から読み直す資料として整理されている。
反差別国際運動(IMADR)「国連人権アップデート No.40 水、衛生、環境に関する人権/インドネシアで家事労働者に関する新法可決」
URL:https://imadr.net/hrupdateno40/

