改正刑法施行3年、性犯罪の運用実態調査開始 SpringとHRN

この記事のポイント

1.Springとヒューマンライツ・ナウが、2023年改正刑法の性犯罪規定に関する運用実態調査を始めた。
2.法律実務家とメディア関係者を対象に、届出不受理、不起訴処分、無罪判決などの事例を収集する。
3.調査結果は、2028年に迎える施行後5年の法定見直しに向けた提言へ活用する方針としている。

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一般社団法人Springと国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は2026年7月14日、2023年改正刑法の性犯罪規定が刑事司法の現場でどのように運用されているかを調べるアンケートを始めた。改正規定は2023年7月13日に施行され、2026年7月13日で3年を迎えた。調査は法律実務家と、性暴力・性犯罪を取材してきたメディア関係者を対象に、別々の回答フォームで実施する。回答期限は定めておらず、被害届などの届出不受理、不起訴処分、無罪判決を含む事例を幅広く把握する方針だ。

2023年の「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」は、強制性交等罪と準強制性交等罪を不同意性交等罪に、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪を不同意わいせつ罪に再編した。成立要件の中心には、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」に置かれたことを据え、その原因として暴行・脅迫、心身の障害、アルコールや薬物、意識が明瞭でない状態、恐怖・驚愕、虐待による心理反応、立場による影響力など8項目を列挙した。性交同意年齢に関する規定や公訴時効も改められており、条文の変更が捜査、起訴、公判の各段階でどう判断に反映されたかは、法改正の成果を測る主要な材料となる。

改正法附則20条は、施行から5年を経過した段階で、性的被害の実態や性的同意に対する社会の意識を踏まえ、性犯罪施策を検討するよう政府に定めている。同条2項は、被害を申告することの困難さなどについて必要な調査を行うことも明記した。SpringとHRNは今回の結果を実務運用の改善と制度見直しの検討に用い、2028年に迎える施行後5年の見直しに向けた提言につなげるとしている。民間団体による調査であり政府調査そのものではないが、附則が想定する実証的検討と重なる資料になり得る。

刑事司法の統計だけでは、相談後に被害届の提出へ進めなかった事例や、捜査機関がどの説明を根拠に事件化を見送ったかを把握しにくい。弁護士と取材者から事例を集める方法には、こうした手続前後の経験を拾える利点がある。ただし、任意回答で集めた事例から全国的な発生割合や不受理率を算出することはできない。調査結果を公表する際は、回答者の立場、事件の時期、手続段階、判断理由、同一事例の重複を区別し、被害者を特定させない処理も欠かせない。

性暴力を受けた人が刑事司法へアクセスできるかは、犯罪規定の文言だけでなく、相談、届出、捜査、起訴、公判での具体的な運用に左右される。SpringとHRNが集めた事例をどの基準で分析し、届出の受理や事情聴取、起訴判断、裁判上の評価に関する改善策へ結び付けるかが、今回の調査の実務的な核心となる。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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