東広島市、プライド月間にLGBTQ職員研修 ReBit教材活用

この記事のポイント

1.東広島市が6月のプライド月間に合わせ、市職員を対象とするLGBTQのeラーニング研修を実施した。
2.認定NPO法人ReBitの教材を使い、性的指向やジェンダーアイデンティティ、ハラスメント、行政職員の対応を学んだ。
3.国の基本計画も相談窓口職員の知識不足を課題に挙げており、研修内容を日常の住民対応へ反映できるかが問われる。

福祉職・対人援助者向けLGBTQeラーニング

東広島市は2026年6月のプライド月間に合わせ、市職員を対象に「性の多様性」に関するeラーニング研修を実施した。認定NPO法人ReBitが制作した教材の使用許諾を受け、性的指向やジェンダーアイデンティティ(性自認)に関する基礎知識、LGBTQ当事者が直面する課題、行政職員としての配慮や対応を学ぶ内容とした。無意識の思い込みや偏見を指すアンコンシャス・バイアスについても取り上げた。

ReBitの「福祉職・対人援助者向けLGBTQ eラーニング講座」は、オンラインで無料提供されている。全体は約60分で、各5~10分程度の9章に分かれ、研修時間や学びたい内容に応じて組み合わせられる。東広島市の受講者からは、どのような言動がハラスメントに当たるのか、相手を傷つけないためにどのように対応するかを学べたとの感想が寄せられた。市とReBitの公表資料では、受講人数や対象部署の内訳は示されていない。

行政の相談窓口や福祉部門では、生活困窮、家族関係、医療、介護、住居、子育てなど、本人の生活状況を詳しく聞き取る場面がある。担当職員が家族構成やパートナーの性別を固定的に想定した場合、相談者が必要な情報を伝えにくくなり、支援制度への接続が遅れる可能性がある。研修はLGBTQに関する用語を覚えるだけでなく、相談者の説明を遮らないことや、本人の同意なく性的指向や性自認を共有しないことを、窓口実務として確認する機会となる。

内閣府が2026年6月16日に閣議決定した「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」は、相談窓口職員の理解不足により、相談の背景にある性的指向やジェンダーアイデンティティが認識されず、適切な対応につながらない場合があると指摘した。不適切な対応を恐れ、相談自体をためらう人がいることも課題に挙げている。基本計画は、行政職員への研修、医療機関や福祉関係施設への知識の普及、各種相談機関での対応力向上を施策に盛り込んだ。東広島市の研修は、この基本計画が示した相談現場の課題と重なる。

東広島市は2023年4月1日から、性的少数者のカップルを市が公的に認知するパートナーシップ宣誓制度を運用している。制度に法律上の効力はないものの、市は受領証や受領カードの提示を受けた人に対し、利用者の性的指向、性自認、制度利用の事実を本人の同意なく口外しないよう案内している。制度を設けるだけでは、日々の窓口対応が自動的に変わるわけではない。東広島市人権男女共同参画課がReBitの教材を継続研修や相談対応の点検へどう反映するかが、職員研修を行政サービスの改善として定着させる条件となる。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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