海外ルーツの子どもの声を1分動画に シーライツ全国募集

この記事のポイント

1.シーライツが、海外ルーツとアライの子どもから、差別や共生をテーマとする1分以内の動画を募集している。
2.顔を出さず、イラスト、文字、ダンス、歌、自分が話しやすい言語でも応募できる。
3.子どもの意見表明を支えると同時に、動画公開時の個人特定や差別的反応を防ぐ運営が課題となる。

「No ヘイト/Yes 共生~みんなでつくる海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」

認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights、シーライツ)は2026年7月16日、「Noヘイト/Yes共生~みんなでつくる海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」の作品募集を案内した。対象は、日本以外の国や地域につながりを持つ高校生または17歳以下の子どもと、その仲間が安心して暮らせる社会を一緒につくりたい「アライ」の子ども。募集期間は7月11日から8月31日までで、自分の思いや願い、社会に伝えたいことを1分以内の動画にまとめて送る。

海外ルーツの子どもには、日本で暮らして感じたこと、うれしかったことや困ったこと、将来の夢などを例示した。アライの子どもは、望む社会の姿、自分にできる行動、海外ルーツの仲間へのメッセージを表現できる。顔を出す必要はなく、イラスト、文字、写真、ダンス、歌も使える。日本語に限らず、本人が話しやすい言語を選び、実名ではなくニックネームで応募することも認めている。ユースやスタッフなどの大人と共同制作する場合も、少なくとも子ども1人が参加すれば対象となる。

応募はシーライツ公式LINEまたは専用メールで受け付ける。協力への謝礼は個人制作がQUOカード1,000円分、グループ制作が2,000円分で、複数作品を送っても交付は1回。作品はシーライツのホームページやSNSで公開するほか、子どもの権利を扱うイベント、ワークショップで上映する。プロジェクトは、公益財団法人パブリックリソース財団のY’sファンドD&I基金による助成を受け、シーライツのユースメンバーが毎週のオンライン会議と毎月の対面会議を重ねて運営している。

2016年6月3日施行のヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者への不当な差別的言動を許さないと宣言し、国と地方公共団体に相談体制の整備、教育、啓発を促した。法務省は施行10年を迎えた2026年にも、インターネット上を含む差別的言動の解消を呼びかけている。今回の企画は、おとなが作った啓発資料を子どもへ届ける方式ではなく、差別の影響を受ける子どもと共に暮らす仲間自身が、経験や意思を発信する点に特徴がある。こども基本法第11条が国や自治体の施策に子どもの意見を反映する措置を定めたこととも、参加を重視する方向で重なる。

動画の公開は子どもの声を広く届ける半面、顔、声、生活経験、言語などの組み合わせから本人が特定されたり、差別的な反応を受けたりする危険を伴う。シーライツは、顔を出さない表現やニックネームを選べるようにし、送付後に応募者へ確認連絡を行い、動画を事業目的以外には使わないと説明している。2025年策定の「子どもと若者のセーフガーディング指針」でも、活動に伴うリスク分析、個人情報の収集・公開、相談・通報への対応を組織の責任として定めた。

8月31日の締切後、シーライツが作品の公開範囲を応募者とどのように確認し、SNS上の反応を管理しながらイベントやワークショップへつなぐかは、参加した子どもの表現と安全を両立させる実務となる。「Noヘイト/Yes共生」の成果は、集まった動画の本数だけでなく、海外ルーツの子どもの言葉が編集や発信の過程でも尊重されたかによって測られる。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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