
埼玉県川口市は、公益社団法人埼玉犯罪被害者援助センターが開催する「犯罪被害者等支援オープンゼミ」の情報を案内している。開催日時は2026年5月26日午後1時15分から午後4時までで、会場は武蔵浦和コミュニティセンター第7集会室。定員は30人で、対象は埼玉県内在住者、申込みは5月8日以降に埼玉犯罪被害者援助センターへ直接行う。内容は、犯罪被害者等による講演、犯罪被害者支援の歩みと支援の概要、二次被害に関するロールプレイなどで構成されている。
犯罪被害者等支援は、事件直後の一時的な相談対応にとどまらない。犯罪被害に遭った本人や家族、遺族は、身体的・精神的被害に加え、医療費、転居、就労継続、裁判対応、報道や周囲の言動による負担など、長期にわたる困難に直面することがある。犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的としており、国や地方公共団体、関係機関が連携して支援を進めることが求められている。今回のオープンゼミは、支援制度を専門職だけの知識にとどめず、地域住民が理解する機会として意味を持つ。
特に注目されるのは、内容に「二次被害のロールプレイ」が含まれている点である。二次被害とは、事件そのものによる被害に加え、周囲の無理解な言葉、配慮を欠いた対応、偏見、過度な詮索、報道やSNS上の拡散などによって、被害者や家族がさらに傷つけられることをいう。善意の声掛けであっても、「なぜ逃げなかったのか」「早く忘れた方がいい」といった言葉が、当事者を孤立させる場合がある。ロールプレイを通じて具体的な場面を学ぶことは、支援者だけでなく、地域で暮らす市民にとっても実践的な啓発となる。
地方公共団体にとって、犯罪被害者等支援は、防犯施策や警察対応とは異なる福祉・人権施策の側面を持つ。被害者や家族が必要とする支援は、相談窓口、医療、心理的ケア、生活支援、住居、法律相談、学校や職場への配慮など多岐にわたる。市町村が関係機関の研修や啓発機会を周知することは、住民が支援先を知る入口となるだけでなく、窓口職員や地域団体が被害者の置かれた状況を理解する契機にもなる。支援の初動で不適切な対応を避けるためには、制度の知識とともに、当事者の心理や生活上の困難への理解が欠かせない。
犯罪被害者等支援では、「自分には関係がない」という意識をどう変えるかが課題となる。事件は誰にでも起こり得る一方、被害を受けた後に必要な支援へたどり着けるかどうかは、地域の理解や関係機関の連携に左右される。今回のオープンゼミは、犯罪被害者等の声を直接聴き、二次被害を防ぐ対応を学ぶことで、地域社会が当事者を孤立させないための基礎を確認する場となる。参加者が得た知識を、家庭、職場、学校、地域活動の中で生かせるかが、啓発の実効性を左右する。

