1.アムネスティは、ボン気候会議に参加する各国政府に対し、人権を中心に据えた具体的行動を促した。
2.提言は、化石燃料からの公正な移行、気候資金の拡大、損失と損害への賠償、市民社会の参加保障を柱とする。
3.気候変動対策は、先住民族、低所得層、影響を受ける地域社会の権利保障と切り離せない課題になっている。

アムネスティ・インターナショナルは2026年6月5日、ドイツ・ボンで6月8日から18日まで開かれる気候変動会議を前に、各国政府に対し、気候変動に関する約束を「人権中心」の具体的な行動計画に移すよう促した。会議は、11月にトルコ・アンタルヤで開かれるCOP31に向けた準備会合に当たり、各国が交渉の優先事項や意欲水準をどこまで示すかが問われる場となる。
アムネスティは、各国政府が気候変動による被害から人びとを保護し、被害を受けた人びとの回復を支援する法的義務を負うと指摘している。提言では、化石燃料を全面的かつ迅速に、公正で資金を伴う形で段階的に廃止すること、化石燃料からの「公正な移行」を進めること、低所得層を保護しながら化石燃料補助金の廃止に取り組むことを挙げた。単なる脱炭素政策ではなく、移行過程で生活基盤を失う人びとをどう支えるかを含めて設計すべきだという問題提起である。
資金面では、低所得国における緩和策と適応策の資金ニーズが2030年までに5兆〜6兆米ドル、円換算で約800兆〜960兆円に達するとする国連気候変動枠組条約のデータに言及した。COP29で合意された2035年までの年間3,000億米ドルという資金目標について、アムネスティは必要額には届いていないとみる。とりわけ、気候変動の影響を受ける国や地域が洪水、干ばつ、海面上昇などに備えるための適応資金の不足を問題視している。
人権上の論点は、気候変動の被害が均等に生じない点にある。排出量の少ない低所得国、先住民族、島しょ国、環境人権活動家、社会的に不利な立場に置かれてきた集団ほど、生活、住居、健康、文化、参加の権利に直接的な影響を受けやすい。アムネスティは、損失と損害への対応基金の支援強化に加え、先住民族の自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を尊重する仕組みを重視している。
会議参加のあり方も課題として示された。アムネスティは、ボン会議やCOP31の開催国であるドイツ、トルコ、オーストラリアに対し、参加者が不当な制限や報復を恐れずに意見を表明し、平和的にデモを行える環境を確保するよう求めている。気候政策を各国政府間の排出削減交渉だけで終わらせず、影響を受ける地域社会が意思決定に関わる仕組みをどう組み込むかが、ボン会議からアンタルヤのCOP31へ引き継がれる論点となる。
アムネスティ・インターナショナル日本
URL:https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0609_11004.html

