日本、モルドバ女性支援に8万ドル 避難施設10床増設

この記事のポイント

1.日本政府が8万米ドルを拠出し、モルドバの女性・子ども向け避難施設を10床増設する。
2.対象はジェンダーに基づく暴力の影響を受けたモルドバ人女性と、ウクライナから避難した女性ら。
3.宿泊、心理支援、法的助言、保健サービスに加え、モルドバとウクライナの支援機関の連携を強化する。

日本、モルドバで暴力や避難の影響を受けた女性への支援を拡大

国連人口基金(UNFPA)駐日事務所は2026年7月8日、日本政府がモルドバで実施する女性・少女への保護支援に、2025年度補正予算から8万米ドルを拠出すると公表した。対象は、ジェンダーに基づく暴力の影響を受けたモルドバ人女性と、ウクライナから避難した女性ら。支援を受けるUNFPAは、南東部シュテファン・ヴォダ地区で稼働中の「国境横断危機センター」を拡張する。

センターには、暴力から逃れた女性と子どもが安全に滞在できる10床を増設する。心理カウンセリング専用室、女性のグループ活動に使う空間、子どもに配慮したサービススペースも整備する。施設では宿泊に加え、心理社会的支援、ケースマネジメント、法的助言、医療機関への紹介を提供しており、避難先を確保するだけでなく、その後の生活と手続を複数分野から支える構成となっている。

駐モルドバ日本国大使の竹内一之氏とUNFPAモルドバ代表のカリナ・ネルセシャン氏は5月19日、シュテファン・ヴォダ地区の施設を訪問した。日本の拠出は、モルドバとウクライナの支援機関を結ぶ連携にも充てられる。国境を往来する女性が移動のたびに相談記録や紹介経路を失えば、保護、医療、法的支援が中断する。両国の機関が情報共有と引継ぎの方法を整えることは、避難と帰還を繰り返す人への継続支援に直結する。地域に近い保護・心理社会支援と、生殖保健サービスを組み合わせる取組も現地で進められている。

欧州評議会のイスタンブール条約は、女性に対する暴力を人権侵害かつ差別の一形態と捉え、被害者の権利と安全を中心に据えた支援を定める。第20条は法的・心理的相談、住居、医療・社会サービスへのアクセスを、第22条は短期・長期の専門支援を、第23条は利用しやすく十分な数のシェルターを確保するよう締約国に課す。今回の10床増設は、このうち緊急避難の受入能力を補う措置だが、UNFPAはモルドバ国内でなお安全な宿泊場所が不足していると説明している。

支援の実効性は、増設した10床の利用だけでは測れない。ウクライナ難民とモルドバ人女性が、在留資格や国籍にかかわらず相談へ到達できるか、子どもを伴う場合にも安全を保てるか、退所後も医療・法的支援へつながるかを確認する必要がある。日本政府とUNFPAが進めるシュテファン・ヴォダの事業は、宿泊、心理支援、法的助言、保健サービスを同じ支援経路に組み込み、国境を越えて継続させる仕組みの整備を担う。

出典

国連人口基金駐日事務所「日本、モルドバで暴力や避難の影響を受けた女性への支援を拡大」、UNFPAモルドバ事務所、欧州評議会「イスタンブール条約」

URL:https://tokyo.unfpa.org/ja/news/moldova_2026
URL:https://moldova.unfpa.org/en/news/japan-expands-support-women-affected-violence-and-displacement-moldova
URL:https://rm.coe.int/168008482e

人権ニュース編集部

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