1.フィリピンのプレダ基金で保護・教育支援を受けたエリカ・パウロさんが、2026年5月に大学を卒業した。
2.プレダ基金は、性的虐待や性的搾取の被害を受けた子どもに、安全な住環境、心理的ケア、教育、法的支援を提供している。
3.被害からの回復には、緊急保護だけでなく、進学、自立、地域生活までを支える継続的な仕組みが必要となる。

認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンは2026年7月13日、フィリピンのプレダ基金から支援を受けたエリカ・パウロさんが、同年5月にスービックベイ大学を卒業したと報告した。エリカさんは犯罪学の学位を取得した。性的虐待を経験した後、プレダ基金の保護施設で生活しながら学業を続け、社会の中で弱い立場に置かれた人を守る仕事を志している。
プレダ基金は、性的虐待、性的搾取、人身取引などの被害を受けた少女を保護するフィリピンの民間団体で、正式名称は「People’s Recovery, Empowerment and Development Assistance Foundation」。オロンガポ市周辺で児童保護施設を運営し、安全な居住場所、心理的ケア、学校教育、法的支援、退所後のアフターケアを組み合わせている。女子施設では1996年以降、6歳から17歳までの1,000人を超える子どもを受け入れたとしている。
エリカさんは、プレダ基金が自分を信じて支えたことで教育を続け、夢を追うことができたと振り返った。今回の卒業は、保護施設への入所だけで被害回復が完了するわけではないことを示す。学校への復帰や進学には、授業料などの経済的支援に加え、心理状態に応じた学習環境、生活上の安全、信頼できる支援者との関係を維持する必要がある。プレダ基金が教育とアフターケアを同時に扱うのは、こうした支援を途中で切断しないためである。
子どもの権利条約第39条は、虐待や搾取の被害を受けた子どもの身体的・心理的回復と社会復帰を、健康、自尊心、尊厳を育む環境で進めるよう締約国に定める。フィリピンの共和国法第7610号も、虐待や搾取から子どもを保護し、発達を脅かされた子どもの回復を図る国の責務を明記している。被害者支援は、加害者の処罰や一時的な避難だけでは完結せず、教育を受ける権利と、その後の進路を自ら選ぶ機会の保障を含む。
ただし、一人の大学卒業をもって、すべての被害者が経験を乗り越えられると一般化することはできない。公表資料は、エリカさんが受けた被害の具体的内容や時期を示しておらず、本人の歩みを支援団体の成果として過度に物語化しない配慮も要る。フィリピン法は、児童虐待事件について被害者を傷つける扇情的な報道を禁じている。エリカさんの犯罪学学位取得は、プレダ基金による保護、教育、退所後支援が大学卒業まで継続した一例として受け止めるべき事実である。
認定NPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパン「性的虐待を乗り越え、『人を守る仕事』を目指す」、プレダ基金、国連「子どもの権利条約」、フィリピン共和国法第7610号
URL:https://ftcj.org/news/51908/
URL:https://www.preda.org/home-for-girls/
URL:https://www.ohchr.org/en/instruments-mechanisms/instruments/convention-rights-child
URL:https://lawphil.net/statutes/repacts/ra1992/ra_7610_1992.html
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