川崎市と19社、生物多様性可視化へ 全国初の協働基盤設立

この記事のポイント

1.川崎市が大規模企業、不動産会社、金融機関の計19社と、生物多様性を評価する協働基盤を設立した。
2.衛星データや地理空間情報を使い、緑化の効果を数値化する「川崎モデル」の構築を目指す。
3.評価指標には、企業の情報開示だけでなく、市民参加や緑地の便益を公平に受けられる環境も問われる。

「KAWASAKI NATURE LOOPグローバルプラットフォーム」設立発表会の様子(川崎市役所にて)

川崎市は2026年7月8日、市内に拠点を置く大規模企業、不動産会社、金融機関の計19社と「KAWASAKI NATURE LOOPグローバルプラットフォーム」を設立した。市によると、自治体と企業がみどりと生物多様性の評価を協議する枠組みは全国初。旭化成、味の素、ENEOS、JFEスチール、東芝、富士通、日鉄興和不動産、川崎信用金庫、横浜銀行などが参加し、東京大学先端科学技術研究センターの森章教授らが学識者を務める。

協議の中心は、みどりと生物多様性の「見える化」、動植物の継続的なモニタリング、評価指標の検討である。衛星リモートセンシングや地理空間情報解析を使い、緑化や緑地活動の効果を数値化・図示化する「川崎モデル」の構築を目指す。市内企業の敷地と周辺の公園などをつないだ調査も想定し、JERA川崎火力発電所とちどり公園、東芝小向事業所と御幸公園などが連携例として示された。

川崎市が2026年3月に策定した「みどりの将来像」は、2050年の姿として「緑のつながり」「人のつながり」「みどりを活かしたまちづくり」の3本柱を掲げる。今回のプラットフォームでは、2030年のSDGsと2050年のネット・ゼロの中間に当たる2040年を目標年次とし、緑の連続性やまとまり、拠点地域のウェルビーイング、参加の広がりを測る指標を検討する。国の「生物多様性国家戦略2023-2030」も、2030年までに生物多様性の損失を止めて回復へ反転させるネイチャーポジティブを掲げ、企業や地方公共団体を含む取組を対象としている。

環境施策は人の健康や生活条件とも接続する。国連総会は2022年、清潔で健康かつ持続可能な環境への権利を人権として承認した。ただし、緑地面積や生物種の数が増えれば、市民が等しく便益を得られるとは限らない。暑熱の緩和、災害への備え、休息や移動に使える緑地へのアクセスが、地域、年齢、障害の有無などによって偏っていないかも、都市環境の評価には含まれる。

プラットフォーム規約の構成員は企業、学識者、アドバイザー、川崎市で、市民団体や住民は常任構成員に含まれていない。必要に応じて関係者から意見を聴く規定はあるため、今後の指標設計では、市民や地域団体が調査方法と評価結果を確認し、利用環境に関する経験を示せる手続が課題となる。川崎市が掲げる「多様な主体の参画」を、企業の自然関連情報開示だけでなく、7区の生活環境を把握する仕組みに反映できるかが、川崎モデルの内容を左右する。

出典

川崎市「KAWASAKI NATURE LOOPグローバルプラットフォーム」、日鉄興和不動産株式会社、環境省「生物多様性国家戦略2023-2030」、国連総会決議76/300

URL:https://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000188241.html
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000596.000001379.html
URL:https://www.env.go.jp/nature/biodiversity/initiatives6.html
URL:https://digitallibrary.un.org/record/3983329

人権ニュース編集部

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