性の多様性を包摂する学校へ ReBitが社会モデル講座開催

この記事のポイント

1.認定NPO法人ReBitが8月20日、性の多様性を包摂する学校づくりを「社会モデル」から考えるオンライン講座を開く。
2.中央教育審議会委員の野口晃菜氏が講演し、江東区立第三砂町小学校で2025年度に行った環境整備も紹介する。
3.学校での対応は、本人からの相談を待つ個別支援だけでなく、校則、授業、教職員の言動、相談体制にある障壁の点検までを含む。

「社会モデルで実現するインクルーシブ教育 ~思いやりをこえて性の多様性を包摂する学校づくり~」

認定NPO法人ReBitは2026年8月20日午後3時30分から、オンラインイベント「社会モデルで実現するインクルーシブ教育 『思いやり』をこえて、性の多様性を包摂する学校をつくる」をZoomで開く。講師は一般社団法人UNIVA理事で中央教育審議会委員の野口晃菜氏。参加は無料で、教育委員会、学校関係者、自治体職員などを対象とし、11月1日までアーカイブを配信する。

講演では、子どもが感じる困難の原因を本人の属性だけに置かず、校則、授業、施設、教職員の言動など学校側の障壁から捉える「社会モデル」を扱う。ReBitは、2025年度に江東区立第三砂町小学校で進めた実践も紹介する。同校では全教職員を対象とする研修、多様な性に関する図書コーナーの設置、5年生3学級での授業などを半年間にわたり実施した。

制度との関係は二つに分けて見る必要がある。中央教育審議会の教育課程企画特別部会が2025年9月にまとめた論点整理は、「多様性の包摂」を次期学習指導要領の方向性に掲げ、障害の社会モデルを踏まえた教室環境や授業づくりを示した。ただし、該当箇所は障害のある子どもの教育課程を主題としており、性的指向やジェンダーアイデンティティを対象として明記してはいない。今回の講座は、その発想を性の多様性に関わる学校環境の点検へ接続する試みとなる。

学校に固有の役割は、2023年施行の理解増進法と、2026年6月16日に閣議決定された基本計画に示されている。学校の設置者と学校は、児童・生徒への教育・啓発、教育環境、相談体制について必要な措置を講じる努力義務を負う。基本計画は、性的指向とジェンダーアイデンティティ(SOGI)をプライバシー情報とし、カミングアウトの強要や本人の同意のないアウティングが精神的苦痛を生じさせる可能性も明記した。

ReBitの「LGBTQ子ども・若者調査2025」では、分析対象となった12~34歳の当事者4,733人のうち、LGBTQの中高生の89.5%が過去1年間に学校で困難やハラスメントを経験し、94.6%が担任へ安心して相談できないと答えた。別の学校調査では、教職員の58.6%が過去3年間に同僚による性の多様性を尊重しない言動を見聞きしていた。いずれもReBitが募った回答に基づく調査で、全国の児童・生徒や教職員全体の割合を示す統計ではないが、相談を待つだけでは把握できない学校環境上の問題を示している。

学校での対応は、当事者と推測される子どもを探したり、本人に説明を迫ったりすることではない。文部科学省も、申出がない段階で児童・生徒を調査する必要はなく、日頃から相談しやすい環境を整える考え方を示している。男女別の指示、制服や名簿、授業中の例示、相談内容の共有範囲を、誰も申し出なくても困りにくい形へ改める一方、個別対応では本人の意思と秘密を守らなければならない。8月20日の講座は、江東区立第三砂町小学校の実践を手掛かりに、学校全体の環境整備と個別の相談対応をどう両立させるかを扱う。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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