堺市立中学校いじめ報告書、14行為認定 調査開始遅れも指摘

この記事のポイント

1.堺市いじめ重大事態調査委員会は、市立中学校の事案で14の行為をいじめと認定した。
2.報告書は、いじめと希死念慮・自傷行為との因果関係を認めた。
3.学校の初期対応、SSW活用、調査開始時期、過去報告書の活用不足が課題とされた。

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堺市いじめ重大事態調査委員会は2025年3月28日付で、「堺市立中学校いじめに係る重大事態調査報告書」をまとめた。堺市は2026年6月11日、この報告書を市ホームページで公開した。報告書は、市立中学校に在籍していた女子生徒を「対象生徒」とし、2022年度から続いた同級生らとの関係、学校と堺市教育委員会の対応、再発防止策を検証している。

報告書によると、対象生徒の保護者は、同級生によるいじめ事象を学校に訴えた。学校は対応を続けたが、対象生徒は希死念慮を抱き、自傷行為を行うに至った。保護者は2023年1月に第三者委員会による調査を要望し、同年3月3日には対象生徒と保護者が学校と教育委員会に「要望書」を提出した。教育委員会は、いじめ防止対策推進法第28条第1項第1号の重大事態に該当すると判断し、同年10月26日に調査委員会へ諮問した。

調査委員会は、LINEアプリのアイコン変更、SNS上の投稿、部活動内での厳しい言葉、会話に入りにくい状態に置く行為、グループLINEに復帰させない行為など、1年次から3年次にかけての14行為をいじめと認定した。報告書は、法の定義に従い、心理的または物理的な影響を与え、対象生徒が心身の苦痛を感じた行為かどうかを検討している。個別の文言や部活動名などには黒塗りがあるが、学校生活とSNS上の関係が重なりながら、対象生徒の孤立感を強めた構図が読み取れる。

報告書が重く見たのは、いじめと希死念慮・自傷行為との関係である。対象生徒は、認定されたいじめ行為によって精神的に不安定となり、通常学級や学校への行きづらさ、居づらさを感じるようになった。その結果、希死念慮を抱き、自傷行為に及んだとして、調査委員会はいじめと希死念慮、いじめと自傷行為との因果関係を認めた。

学校対応については、初動段階でいじめとして扱わず、「中学生の女子生徒によくある対人関係のトラブル」として扱った点が指摘された。対象生徒や保護者の訴えを十分に受け止められず、謝罪の場の設定だけで解決を図ろうとしたこと、発達特性を踏まえた個別対応が徹底されなかったこと、3年次の個別の教育支援計画の完成が遅れたことも課題とされた。学校が関係生徒側へ行動制限を求める際、対象生徒側の訴えの内容や意図を十分に検討しないまま伝えた点も、関係生徒側の反発を招いたと分析している。

教育委員会側にも複数の課題が示された。報告書は、保護者の不信感を軽減する関係調整・仲介が十分でなかったこと、スクールソーシャルワーカーの活用が管理されていなかったこと、学校が助言を受け入れにくい場合に背景事情へ踏み込んだ対応が必要だったことを挙げる。調査開始時期についても、2023年1月に保護者が調査を要望してから、調査委員会発足まで9カ月を要したとして、より迅速な開始を積極的に検討する必要があったとした。

再発防止策では、いじめ防止対策推進法に基づく継続的対応、発達特性を踏まえた支援、対象生徒への心のケア、関係生徒と保護者への成長支援、希死念慮や自傷行為に関する教職員の知識向上、学習機会の保障、管理職のリーダーシップ強化が並んだ。教育委員会に対しては、学校のサポート体制、専門職の適切な活用、重大事態調査の迅速化、報告書を施策に生かす仕組みを提言している。報告書の公表ページは、堺市教育委員会事務局学校教育部学校保健体育課が作成担当として記載されている。

出典

堺市「堺市立中学校いじめに係る重大事態調査報告書」
URL:https://www.city.sakai.lg.jp/kosodate/kyoiku/tetsuzuki/ijime_boshi/77636620231020100644044.files/260611houkokusyo.pdf

出典 堺市「市立学校におけるいじめ重大事態調査報告書の公表について」
URL:https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/koho/hodo/hodoteikyoshiryo/kakohodo/r8/r806/080611_02.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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