鳥取県、強制隔離反省の碑を清掃 「無らい県運動」の記憶継承

この記事のポイント

1.鳥取県は6月24日、鳥取市の「ハンセン病の強制隔離への反省と誓いの碑」を清掃する。
2.碑は、県が国の隔離政策に従い「無らい県運動」を徹底した歴史への反省から、2008年に建立された。
3.行政自らが関与した差別の歴史を記録し、職員による清掃を毎年続ける取組には、被害の風化を防ぐ役割がある。

鳥取県

鳥取県は2026年6月24日午後4時から5時まで、とりぎん文化会館(鳥取県立県民文化会館、鳥取市尚徳町)に設置された「ハンセン病の強制隔離への反省と誓いの碑」を清掃する。県福祉保健部健康医療局健康政策課と感染症対策センターの職員が参加し、少雨の場合も実施する。碑は同会館の正面玄関に向かって右側、二十世紀梨の木のそばにある。

鳥取県には、国が進めたハンセン病患者の強制隔離政策に従い、患者を地域から排除する「無らい県運動」を徹底した過去がある。県はこの歴史への反省を形に残し、ハンセン病問題を考える拠点とするため、2008年6月30日に碑を建立した。名称、碑文、設置場所は、当事者を含む関係者で構成された懇話会で検討され、整備には県民からの募金も充てられた。デザイン募集には12社から16作品が寄せられ、専門家と関係者による審査を経て現在の碑が選ばれた。

県が清掃を行う時期は、6月22日の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に合わせている。この日は、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給に関する法律が2001年6月22日に施行されたことを踏まえ、2009年度から国の追悼日とされた。厚生労働省も2026年6月22日、東京都千代田区の中央合同庁舎第5号館で、代表者献花や黙祷を含む式典を開催する。

ハンセン病は、らい菌による感染症だが、菌の感染力は弱く、現在は治療法が確立している。治癒した人が感染源になることもない。それにもかかわらず、患者や回復者、その家族は、「不治の病」「遺伝病」といった誤解に基づく差別を受け、隔離政策の終了後も、地域生活や家族関係に長期の影響を受けた。鳥取県の碑が示すのは、差別が個人の偏見だけで生じたのではなく、国の政策と地方行政、地域社会の行動が重なって拡大したという歴史である。

碑の清掃は、施設管理としては小規模な作業である。しかし、過去の行政責任を記した碑を県職員が毎年手入れすることは、反省を一度の建立式で終わらせないための実務でもある。鳥取県健康政策課と感染症対策センターには、6月24日の清掃と併せ、碑文や「無らい県運動」の経緯を県民が学べる状態に保ち、強制隔離と差別の記憶を次の世代へ伝える取組を継続する責任がある。

出典

鳥取県「『ハンセン病の強制隔離への反省と誓いの碑』の清掃」
URL:http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/webview/51B90D1B91E2FE0C49258E180030131C?OpenDocument
「ハンセン病」
URL:https://www.pref.tottori.lg.jp/219759.htm
出典 厚生労働省「『らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日』式典の開催について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73332.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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