1.秋田県は4月26日、「人とクマとの共生を考えるフォーラム」をあきた芸術劇場ミルハスで開いた。
2.来場者は445名、オンライン配信の視聴者数は178端末。基調講演、県報告、パネルディスカッションを実施した。
3.人身被害ゼロ、生活圏での安全確保、地域住民の外出・農作業・通学への影響を、人権的な課題として整理できる。

秋田県は4月26日、秋田市千秋明徳町のあきた芸術劇場ミルハス中ホールで、「人とクマとの共生を考えるフォーラム」を開いた。県は5月15日、当日の動画、議事録、基調講演・報告資料を公開した。来場者数は445名、県公式YouTubeチャンネル「WebTVあきた」でのオンライン配信視聴者数は178端末だった。
フォーラムは、ツキノワグマの出没増加を受け、人とクマが共に生きるために必要な「棲み分け」を考える場として実施された。第1部では、東京農業大学名誉教授で茨城県自然博物館館長の山﨑晃司氏が「今、秋田で起きていること」と題して基調講演を行い、秋田県生活環境部自然保護課の柏倉誠課長が「秋田県のクマの現状と対策」を報告した。
議事録によると、鈴木健太知事は、令和7年秋に多くの人がクマによる被害に遭い、散歩や玄関の開閉にも注意が必要な状況になったことに触れた。令和8年度からは、自然保護課だけでなく、農林水産、建設、教育委員会、警察本部を含む全庁で「人の生活圏における人身被害をゼロにする」目標を掲げたと説明している。
人権的な観点で見ると、クマ対策は野生動物管理にとどまらない。人身被害の防止は、住民の生命・身体の安全と直接つながる。散歩、通学、農作業、買い物、地域活動が制約されれば、高齢者、子ども、農家、山間部の住民ほど生活上の負担を受けやすい。とりわけ人口減少や高齢化が進む地域では、危険の回避を各家庭の注意だけに委ねると、移動や外出の機会が細り、生活圏そのものが狭まる。
県報告では、令和5年と令和7年に秋から冬にかけて出没数が極端に多く、人身被害も多く発生したと説明された。秋田市中心部や、これまで出没がなかった住宅街にもクマが現れるようになったことを大きな特徴に挙げた。令和7年の捕獲数は2,800頭で、10年前と比べて10倍から20倍近い数とされる。ただし、県は捕獲だけでなく、柿や栗の木の伐採、公園のやぶの刈り払い、農地への電気柵設置指導など、出没しにくい環境整備も対策に含めている。
第2部のパネルディスカッションでは、山﨑氏、小池伸介・東京農工大学大学院農学研究院教授、星崎和彦・秋田県立大学生物資源科学部教授、佐藤寿男・秋田県猟友会会長、鈴木知事が登壇した。議論では、捕獲、環境整備、普及・研究を組み合わせ、生活圏とクマの生息域を分ける「棲み分け」を共通の方向として確認した。秋田県は、動画と議事録を公開し、自然保護課ツキノワグマ被害対策支援センターを通じて情報提供を続ける。

