奈良市、「人権を確かめあう日」記念集会を配信

奈良市人権を確かめあう日

奈良市は、第38回「人権を確かめあう日」記念集会として、「性的マイノリティに関する偏見や差別をなくそう」をテーマに、講演動画を配信する。講師は、NPO法人東京レインボープライド顧問の杉山文野さん。講演テーマは「New Family ~多様な性と新しいかぞくのカタチ~」で、配信期間は令和8年5月26日から6月25日まで。受講希望者は5月15日までに申込フォーム又は電話で申し込み、申込者には講演動画のURLが送付される。

杉山さんは、フェンシング元女子日本代表で、早稲田大学大学院でジェンダー・セクシュアリティを中心に研究した経歴を持つ。トランスジェンダー当事者としての体験を基にした著書の出版、LGBTQ+啓発を中心とする活動、渋谷区の同性パートナーシップ制度制定への関与、日本フェンシング協会理事、日本オリンピック委員会理事など、幅広い分野で活動している。奈良市の案内では、パートナーと友人の3人で子育てを行う「新しいファミリー」のスタイルにも触れ、固定観念にとらわれない家族のあり方を考える内容として紹介している。

今回の記念集会は、性的マイノリティへの理解促進に加え、「家族」をめぐる社会通念を問い直す機会でもある。家族は血縁、婚姻、性別役割、親のあり方などと結び付いて語られやすいが、現実には、ひとり親家庭、再婚家庭、里親・養子縁組、同性カップル、トランスジェンダー当事者を含む家庭など、多様な生活実態が存在する。人権啓発においては、特定の家族像を「普通」とし、それ以外を例外的に扱うのではなく、子どもと大人が安心して暮らせる関係性や支援のあり方を中心に考える視点が求められる。

性的指向やジェンダーアイデンティティをめぐる偏見は、学校、職場、地域、家庭の中で、いじめ、ハラスメント、孤立、相談しづらさにつながることがある。とりわけ子どもや若者にとって、自分の性のあり方や家族の形が否定的に扱われることは、自己肯定感や進路選択、人間関係に影響を及ぼし得る。行政が記念集会として性的マイノリティと家族の多様性を取り上げることは、住民向け啓発にとどまらず、教育現場、子育て支援、相談支援、職場研修における理解の基礎を広げる意味を持つ。

奈良県や県内市町村では、毎月11日を「人権を確かめあう日」と定め、人権に関する取組を進めている。奈良市も毎年、記念集会を開催しており、今回の配信形式は、会場に足を運びにくい人にも学習機会を広げるものといえる。人権啓発は、特別な知識を持つ人だけのものではなく、地域で暮らす一人ひとりが、日常の言葉、制度、家族観、職場や学校の慣行を見直すところから始まる。多様な性と家族のあり方を学ぶ今回の講演は、違いを排除するのではなく、共に暮らす地域社会の前提を確認する機会となる。

出典

奈良市「第38回『人権を確かめあう日』記念集会について」
URL:https://www.city.nara.lg.jp/site/kosodate/233567.html

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