難治性疾患就労者の39%、会社の配慮なし

この記事のポイント

1.一般社団法人ピーペックが、難治性疾患をもつ就労者ら1,093人を対象に調査を実施した。
2.病気を会社に伝えている就労者の39%が「具体的な配慮がない」と回答した。
3.治療と就業の両立支援は2026年4月から事業主の努力義務となっている。

「病気とワークエンゲージメント」等に関する調査

一般社団法人ピーペックは5月15日、全国30〜60代の就労者1,093人を対象にした「病気とワークエンゲージメント」に関する調査結果を公表した。調査は2月19日から24日までWebアンケートで実施し、回答者のうち533人は、定期的な通院を要する難治性疾患をもつ就労者だった。調査委託先は株式会社アクセライトで、公益財団法人洲崎福祉財団の令和6年度継続助成事業として行われた。

調査では、難治性疾患をもつことを会社に伝えている就労者の39%が「会社からの具体的な配慮がない」と回答した。配慮があると答えた61%では、「休暇・勤怠の調整」「通院への配慮」「体調に応じた業務・負荷の軽減」などが挙がった。病気を会社の誰にも伝えていない人も83人、全体の16%に上り、外見から分かりにくい病気を抱えながら働く人が、職場への申告自体に慎重になっている状況もうかがえる。

配慮の必要性については、難治性疾患をもつ就労者の45%が「会社からの具体的な配慮が必要」と回答した。内容は、急な体調不良や通院に対応する休暇・勤怠の調整、体調に応じた業務負荷の軽減に加え、理解や精神的サポートを求めるものが目立つ。病気をもつ就労者への対応は、特別扱いの問題ではなく、働く人が治療を続けながら職業生活を維持できるかという労働環境上の課題である。

制度面では、改正労働施策総合推進法により、2026年4月1日から職場における治療と就業の両立支援の取組が事業主の努力義務となった。厚生労働省の周知資料では、本人からの相談に応じ、適切に対応できる体制・環境を整備し、必要な就業上の調整や配慮を行う取組として説明している。相談窓口の明確化、社内支援体制の整備、休暇制度や勤務制度の整備などは、難治性疾患をもつ人だけでなく、がん、糖尿病、関節リウマチなど治療を続ける労働者全般に関わる。

調査では、難治性疾患をもつ就労者が「仕事に熱心である」と感じる傾向も示された。病気のある人を、就労困難や制約だけで捉えるのではなく、働く意欲や経験を持つ人材として受け止められるかが企業側に問われる。ピーペック理事・CKO・CHROの武田飛呂城氏は、難治性疾患をもつ人のうち約16%が病気を伝えずに働いている点に触れ、不利益への不安がうかがえるとコメントしている。ピーペックの調査は、病気を抱える就労者が勤務先に何を伝えられ、企業がどのような配慮を実際に用意できているかを確認する材料となる。

出典
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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