田辺ファーマ株式会社は、サステナビリティに関する社会領域の取組として、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を公表している。同社グループは、性別、性自認・性的指向、年齢、経歴、国籍、障害の有無、育児・介護による時間制約などを含む多様性を前提に、従業員が能力を発揮できる職場環境の整備を進めるとしている。
2024年度の取組では、女性活躍推進として「キャリアエンカレッジセミナー」を計5回開催した。経営層や各組織リーダーが登壇し、組織におけるダイバーシティ&インクルージョンの必要性、キャリア形成、ダイバーシティマネジメントについて講演した。管理職候補の女性を対象にした女性リーダー研修「MT-WLP」も実施し、ロールモデルの講演やリーダースキルの講義を通じて、管理職登用に向けた意識醸成と能力開発を進めた。
LGBTQ+に関する取組では、同社グループの「人権の尊重並びに雇用・労働に関するグローバルポリシー」に、性的指向・性自認を理由とする差別を行わないことを明記している。就業規則でも、LGBTQ+等の性的指向・性自認に基づく差別や嫌がらせを懲戒処分の対象とした。事実婚・同性パートナーを家族として登録できる制度を設け、休暇、手当、住宅などで配偶者と同様に取り扱う。採用時のエントリーシートからは性別記入欄を廃止した。
障害者雇用では、2025年3月末時点の同社グループ国内の雇用率が3.37%となり、前期末の3.09%から上昇した。グループ全体では約100人の障害者が働き、特例子会社の田辺パルムサービス株式会社では、2025年4月現在、知的障害、精神障害、発達障害を中心に約40人がオフィスサービス業務に従事している。同社は、朝礼・終礼での認識合わせ、定期面談、日々のケア面談などを通じて、業務内容の確認や生活面を含む相談に対応している。
働き方の支援では、コアタイムなしフレックスタイム制度、裁量労働制度、テレワーク勤務制度に加え、治療と仕事の両立を支援する制度を整備してきた。2018年度には、がんサバイバーや不妊治療など治療を必要とする従業員向けの短時間勤務制度と治療休暇を導入し、2020年4月には不妊治療休職制度を設けた。2022年10月には出生時育児休業を制度化し、2023年4月には通勤圏外の遠隔地から常態的に勤務できる「遠隔地勤務制度」を導入した。
田辺ファーマの取組は、医薬品企業におけるDE&Iを、女性活躍や障害者雇用に限らず、性的指向・性自認、治療と仕事の両立、育児・介護、労使関係まで含めて扱っている点に特徴がある。2024年度にはLGBTQ+当事者の講師による全従業員向けセミナーを実施し、2025年1月には人事担当者向け研修も行った。同社は、国内グループの労働組合加入率が2025年3月末時点で68.5%であることも示しており、従業員の権利保障と職場環境整備を併せて進める方針を掲げている。


