
東京・港区立男女平等参画センター「リーブラ」は、5月13日から8月31日まで、特別展示「港区ゆかりの人物『マリア・T・ツルー』」を実施している。マリア・T・ツルーは、明治時代に日本で活動したアメリカ人女性宣教師で、日本の女子教育、ミッションスクール、初期の看護婦養成に関わった人物として紹介されている。会場は港区芝浦1丁目16番1号、みなとパーク芝浦2階のリーブラ。
ツルーは、長老教会の牧師だった夫を亡くした後、米国婦人一致外国伝道協会の一員として中国での伝道事業に携わり、1874年に来日した。来日後は共立女学校で教え、1876年には女子学院の前身の一つである原女学校に移った。その後、新栄女学校、桜井女学校にも関わり、女子学院の土台を築いた人物の一人とされる。初代院長の矢嶋楫子にも影響を与えた。
リーブラの展示で押さえたいのは、ツルーの活動が単なる学校教育にとどまらなかった点である。キリスト教学校教育同盟の記事によると、ツルーは桜井女学校内に幼稚保育科や看護婦養成所を設け、学外では女性のための療養施設「衛生園」の創設にも関わった。明治期の女性に対し、学ぶこと、働くこと、他者を支えることを結びつけて考えた教育者だった。
当時の女子教育は、女性が社会でどのように学び、職業的な力を身につけるかという課題と直結していた。ツルーが関わった看護婦養成は、ケアを家庭内の役割や奉仕だけに閉じ込めず、知識と技術を持つ仕事として広げる試みでもあった。現代の男女共同参画の視点から見ると、ツルーの活動は、女性の教育機会、職業参加、ケア労働の専門性を考える手がかりになる。
港区との関わりでは、女子学院が、青山霊園にマリア・ツルーの墓があることを紹介している。2019年の女子学院創立記念日には、生徒らが青山霊園を訪ね、女子学院の成立と発展に尽くした人物としてツルーをしのんだ。リーブラの今回の特別展示は、港区ゆかりの人物を通じ、明治期の女子教育と看護教育、女性の社会参加の歴史に触れる機会となる。
港区立男女平等参画センター リーブラ
URL: https://www.minatolibra.jp/20260513-2/
