1.東京都労働委員会は5月13日、日本郵便と郵政非正規ユニオンの不当労働行為救済申立事件で命令書を交付した。
2.争点は、組合員への不利益取扱い、雇止め、団体交渉への対応など。
3.都労委は、業務遂行能力に関する説明要求への会社対応を不誠実な団体交渉と判断し、一部救済とした。

東京都労働委員会は5月13日、日本郵便株式会社を被申立人、合同・一般労働組合全国協議会全国郵政非正規ユニオンを申立人とする「日本郵便(郵政非正規ユニオン)事件」(令和4年不第17号事件)について、命令書を交付した。事件は、組合員であることを理由とした不利益取扱いの有無、団体交渉への対応、雇止めなどが争われた不当労働行為救済申立事件で、命令区分は一部救済となった。
争点には、組合加入通知後に業務指導や訓練が行われなかったこと、部長の発言や処分、遅刻の欠勤扱い、始末書提出命令、有給休暇取得の促し、雇止め理由に関する発言、団体交渉の日程提示、組合員であることを理由とした雇止めの有無などが含まれた。都労委は、これらの多くについて、組合員であることを理由とする不利益取扱い、正当な理由のない団体交渉拒否、不誠実な団体交渉には当たらないと判断した。
一部救済とされたのは、団体交渉における会社側の説明対応である。都労委は、組合からの業務遂行能力に関する説明要求に対する日本郵便の対応について、不誠実な団体交渉に当たると判断した。団体交渉では、使用者が形式的に席に着くだけでは足りず、組合の要求や質問に対して、資料や事実関係を踏まえ、理解を得るよう説明する姿勢が問われる。今回の命令は、その点に限って会社側の対応を問題としたものと整理できる。
労働組合をつくり、使用者と団体交渉を行う権利は、憲法28条と労働組合法によって保障されている。東京都の労働組合向け資料も、労働者は個人では使用者に対して交渉力が弱く、労働組合の結成によって、労働条件や職場のルールを話し合いで決めることが可能になると説明している。非正規雇用の労働者にとって、雇止めや評価、配置、業務遂行能力の判断は生活基盤に直結しやすく、説明の不十分さは労使関係上の対立を深める要因になる。
人権的視点から見ると、この事件は、非正規労働者の雇用上の不安定さと、団体交渉権の実効性が交差する事案である。都労委は、雇止めや個別の処分・発言について広く不当労働行為を認めたわけではない。一方で、業務遂行能力という労働者の評価に関わる事項について、会社が組合の説明要求に十分対応しなかった点を不誠実な団体交渉とした。日本郵便と郵政非正規ユニオンの間では、命令後も、職場での説明責任と団体交渉の進め方が実務上の焦点となる。
東京都労働委員会
URL: https://www.metro.tokyo.lg.jp/
※東京都報道発表「日本郵便(郵政非正規ユニオン)事件(令和4年不第17号事件)命令書交付について」

