1.アムネスティ日本が、2025年の日本の人権状況をまとめた報告を公開した。
2.死刑執行、選挙時の差別的言説、旧優生保護法、入管政策、LGBTIの権利などを取り上げた。
3.国内制度だけでなく、LNG事業や先住民族の権利など海外での日本の関与にも言及した。

公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本はこのほ
¥、各国の人権状況をまとめる年次報告の日本部分として「2025年 日本の人権状況」を公開した。報告は、死刑、差別、障がい者の権利、難民・移民の権利、健康的な環境への権利、先住民族の権利、LGBTIの人びとの権利を項目別に整理している。国内の法制度や裁判だけでなく、日本政府系金融機関や日本企業が関わる海外事業にも触れている点が特徴となる。
死刑をめぐっては、6月27日に9件の殺人罪で有罪判決を受けた29歳の男性に対する絞首刑が執行され、日本で約3年ぶりの死刑執行となったと記載。差別の項目では、7月の参議院議員選挙の選挙運動期間中、街頭やインターネット上で、女性、トランスジェンダーの人びと、外国人に対する排外主義的、差別的な発言が相次いだと整理している。アムネスティ日本を含む人権NGOが、在日外国人やマイノリティに対する排外主義、ヘイトスピーチ、誤情報をあおるものだと批判したことにも触れた。
旧優生保護法をめぐっては、1月17日に強制不妊手術の被害者に補償金を支払う法律が制定されたことを取り上げた。報告は、1948年制定の旧優生保護法の下で、推定8万4000人に対し、同意なしに不妊手術や人工妊娠中絶手術が実施されたと説明している。2025年11月末時点で承認された請求は1,560件にとどまるとし、診療記録など請求に必要な証拠を集める難しさや、自分が手術を受けたことを知らなかった人がいたとの被害者団体の指摘も記した。
難民・移民の権利では、5月に示された移民政策「ゼロプラン」を取り上げ、2030年までに在留資格期限の切れた外国人の数を半減させる目標や、強制送還手続きの迅速化をめぐる懸念を紹介した。パキスタン人ムスタファ・カリルさんの強制送還や、2021年に名古屋市の入管収容施設で死亡したスリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんの映像開示訴訟にも言及している。入管収容、送還、庇護希望者の保護を一体の問題として扱っている。
報告後半では、日本が関与する海外のLNG事業や、カナダの先住民族ウェトスウェッテン、米国アラスカ州の先住民族グウィッチン、沖縄県での米軍基地建設をめぐる人種差別撤廃委員会の書簡を扱った。LGBTIの人びとの権利では、名古屋高裁、大阪高裁、東京高裁の同性婚訴訟の判断、札幌家裁による性別変更の「外観要件」違憲判断を整理した。アムネスティ日本の今回の報告は、2025年の日本を、刑事司法、差別、入管、環境、性の多様性を横断して見る資料となっている。
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本「2025年 日本の人権状況」
URL:https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0516_10976.html

