1.尾道市は9月9日から25日まで、犯罪被害後に生じる生活上の問題や支援機関を漫画形式で紹介するパネル展を開催している。
2.市は2025年4月に犯罪被害者等支援条例を施行し、直接的な被害だけでなく、周囲の言動やネット上の誹謗中傷による二次被害も制度上の課題としている。
3.国の犯罪被害者等基本法は自治体に地域の実情に応じた施策実施を課しており、啓発から相談、住居、経済支援へつなげることが条例の実効性を左右す。

尾道市は2026年9月9日から25日まで、尾道市人権文化センターで「こんなとき、どうする?知って、考える『犯罪被害者支援』パネル展」を開催している。犯罪に遭うとはどういうことか、被害後にどのような問題に直面するのか、どこに相談できるのかを漫画形式で紹介する。パネルデータは公益社団法人全国被害者支援ネットワークが提供した。
被害は犯罪行為の瞬間だけでは終わらない
尾道市は2025年4月1日に「尾道市犯罪被害者等支援条例」を施行した。条例制定時、市は生命・身体への直接的被害だけでなく、周囲からの配慮のない言動やインターネット上の誹謗中傷などによる間接的な被害にも言及している。犯罪被害者が事件後に仕事、住まい、医療、裁判、周囲との関係など複数の問題を抱えることを前提に、市、市民、事業者、関係機関の役割を整理した。
国の犯罪被害者等基本法も、地方公共団体に対し、地域の状況に応じた支援施策を策定・実施する責務を定める。警察庁によると、自治体の制度には見舞金や貸付、公営住宅への入居配慮、転居費用、法律相談などがあるが、利用できる支援や要件は自治体ごとに異なる。犯罪被害後に必要となる制度を本人がすべて調べることは負担が大きく、最初の相談窓口が適切な支援へつなげられるかが制度利用を左右する。
尾道市条例は相談・住居・見舞金も対象
尾道市の条例案内では、相談・情報提供に加え、一定の場合の見舞金、市営住宅の一時的な提供などによる居住安定、二次被害防止の啓発を主な支援としている。今回のパネル展は、このうち「啓発」を具体化した事業とみることができる。制度の存在を知らなければ相談や支援制度にも到達しにくいため、漫画による説明は支援の入口を広げる役割を持つ。
ただし、展示を見てもらうこと自体が被害者支援の成果ではない。実際に被害が生じた際に、尾道市人権男女共同参画課や関係機関が相談を受け、住居、経済、法律、心理面など個別の問題へ継続して対応できるかが条例の中心となる。条例施行2年目となる2026年度に、尾道市が9月のパネル展を具体的な相談・支援制度の利用につなげられるかが次の検証対象となる。
尾道市「知って、考える『犯罪被害者支援』パネル展」
URL: https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/13/92996.html
尾道市「尾道市犯罪被害者等支援条例を制定しました」
URL: https://www.city.onomichi.hiroshima.jp/soshiki/13/78589.html
警察庁「地方公共団体における制度」
URL: https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/portal/machi/seido.html
警察庁「犯罪被害者等基本法」
URL: https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/whitepaper/2025/zenbun/siryo/siryo-1.html

