1.鳥取県は9月8日、以前勤務していた学校の生徒に対する不適切な言動を理由に、事務部局職員を懲戒免職とした。
2.地方公務員法第29条に基づく懲戒処分と、教育職員等を対象とする児童生徒性暴力防止法は対象範囲が異なり、今回の職員への適用関係を混同しない整理が必要となる。
3.鳥取県では2008年、2022年、2024年にも学校職員による生徒への性的な非違行為で懲戒免職が行われており、個人の処分に加えて監督・相談・再発防止の仕組みが検証対象となる。

鳥取県は2026年9月8日、事務部局職員1人を信用失墜行為により懲戒免職とした。県の公表資料によると、職員は以前勤務していた学校の生徒に対し、娯楽施設内で手を握ったり、髪や腕に触れたりするとともに、性的羞恥心を害する不適切な言動を行った。資料は所属や氏名、学校名、生徒の年齢・性別などを明らかにしていない。1ページの公表資料から確認できるのは、行為の概要と9月8日付の免職という処分結果までである。
鳥取県によると、地方公務員の懲戒処分は地方公務員法第29条に基づき、公務における規律と秩序を維持するために行われる。処分は重い順に免職、停職、減給、戒告の4種類で、今回選択された免職は最も重い。県は非違行為の処分量定について指針を設けており、単に「不適切だったか」だけでなく、行為の態様や結果、故意・過失、職責、勤務状況などを総合して判断する仕組みを採る。
学校関係者による児童生徒への性的な行為には、別の制度として「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」がある。同法は2021年に成立し、2022年4月1日に全面施行された。教育職員等による児童生徒性暴力等を禁止し、被害を受けた児童生徒の保護・支援や再発防止を制度化したものである。ただし、鳥取県の今回の資料は対象者を「事務部局職員」としており、この法律上の「教育職員等」に該当するかは資料から確認できない。地方公務員法上の懲戒処分と、教育職員に特化した性暴力防止制度を同一の制度として扱うことはできない。
鳥取県では過去にも学校内の立場と生徒との関係をめぐる重い処分がある。2008年には県立高校の実習助手が、部活動の女子生徒にキスや身体接触を行ったとして懲戒免職となり、校長も監督責任や保護者への不適切な対応、教育委員会への未報告を理由に戒告を受けた。2022年には東部地区の県立高校教諭が女子生徒へのわいせつ行為で懲戒免職、2024年には学校内のトイレに侵入し、生徒をスマートフォンで撮影しようとした教職員が懲戒免職となった。それぞれ行為、職種、適用制度は異なるため直接の先例ではないが、処分後の組織対応まで見る必要性を示す事例である。
2008年の事案では、県教育委員会が被害生徒の特定を避けるため学校名や職員名を公表しない理由を説明する一方、校長の監督・報告上の問題まで処分対象とした。今回の9月8日資料には、事案を把握した経緯、生徒への支援、管理監督上の対応、再発防止策は記載されていない。被害を受けた側のプライバシーを守りながら、組織がどの段階で問題を把握し、どのような支援と再発防止を講じたのかを説明することは両立し得る。鳥取県が今後、9月8日の免職処分に加えて組織上の対応をどこまで示すかが、この事案を検証する材料となる。
鳥取県「事務部局職員の懲戒処分の概要」
URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1437273/080908syobun.pdf
鳥取県「職員の処分状況」
URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/72461.htm
文部科学省「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等について」
URL: https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoin/mext_00001.html
鳥取県議会「平成20年3月21日会議録」
URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/item/298955.htm
鳥取県議会「令和4年3月22日会議録」
URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/item/1307212.htm
鳥取県議会「令和6年11月29日会議録」
URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/item/1360260.htm

