1.出入国在留管理庁は8月4日、永住許可ガイドライン改定案を公表し、9月4日午前0時まで意見募集を行った。
2.改定案は収入基準の引上げ、日本語能力B1相当、制度理解などを国益要件等の審査要素として示す。
3.難民支援協会は、生活保護など公的扶助の利用を難民の永住許可で消極評価する案は難民条約との整合性に問題があると主張した。

出入国在留管理庁は2026年8月4日、「永住許可に関するガイドライン改定案」を公表した。e-Govによる意見募集は9月4日午前0時に終了した。改定案は、永住者を活動・在留期間の制限がなく、生涯日本で暮らすことが想定される最も安定した法的地位として説明し、審査を特に慎重に行う考え方を新たに明記している。
独立生計要件については、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を継続的に上回る水準を審査要素とし、年金の将来受給額も考慮する。国益要件では、日本語能力をCEFR・B1相当とすること、日本の制度・ルールへの理解、学齢期の子どもの就学などを評価項目とする案が示された。原則10年の在留期間に関する配偶者等の特例も、婚姻3年・日本在留1年から、それぞれ5年・3年へ伸ばす内容が含まれる。
認定NPO法人難民支援協会(JAR)は9月2日に意見書を公表し、とりわけ難民への適用に異議を示した。改定案は難民など独立生計要件を法律上免除される類型についても、「現に公共の負担となっている場合」などを国益要件で消極評価できるとしている。JARは、難民条約第23条が公的扶助について自国民と同様の待遇を保障し、第34条が難民の社会への適応・帰化を容易にすることを締約国に促していることから、公的扶助の利用を永住審査上の不利益とすることに反対している。
JARは海外比較として、フランス、イタリア、英国では難民の長期的在留について生計要件を設けず、ドイツ、オランダでは緩和措置があると紹介している。また、オーストラリアでは保護ビザが永住資格となり、カナダでも難民認定等を受けた保護対象者が永住申請を行える仕組みを例示する。これはJARが示した比較であり、各国の移民制度を同一条件で単純比較できるものではないが、日本の案が唯一の制度設計ではないことを示す。
9月5日時点で確認できるのはあくまで「改定案」であり、最終ガイドラインではない。入管庁がパブリックコメントを踏まえ、日本語能力、所得、公的扶助、難民認定手続中の在留期間などをどこまで修正するのかは、結果公示後に確定文書で確認する必要がある。
難民支援協会「『永住許可に関するガイドライン改定案』に対するパブリックコメント」
URL: https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2026/09/post-21817/
e-Gov「永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集」
URL: https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?Mode=0&id=315000140
出入国在留管理庁「『永住者』の適正化に係るパブリック・コメント」
URL: https://www.moj.go.jp/isa/11_00112.html

