児童自立生活援助、年齢制限なしへ 自立支援拠点63か所

この記事のポイント

1.2024年4月施行の改正児童福祉法で、児童自立生活援助事業は一律の年齢制限を弾力化し、必要性に応じて20歳を超えても利用できる制度へ改められた。
2.社会的養護経験者が相談や交流、生活支援を受ける社会的養護自立支援拠点は、2025年4月時点で57自治体63か所となった。
3.国自身が支援内容の地域差・事業所間格差を認めており、年齢制限の見直しだけでなく、施設等を離れた後に再び支援へつながれるかが課題となる。

ケアから自立への希望の道

2024年4月1日に施行された改正児童福祉法は、児童養護施設や里親家庭などを離れた若者への自立支援を大きく変更した。従来の児童自立生活援助事業は原則として義務教育終了後から20歳未満が対象で、学生などには20歳から22歳年度末までの就学者自立生活援助事業が用意されていた。改正後は児童自立生活援助事業を「義務教育終了後から年齢制限なし」とし、20歳を超えても、就学、就職活動、不安定な雇用、障害・疾病などの事情があり、都道府県等が継続支援を必要と判断する人を対象にできる仕組みに改めた。

この改正を「22歳を過ぎても全員が自動的に支援を受け続けられる」と理解するのは正確ではない。改正前にも18歳以上を対象に年齢上限を設けない補助事業は存在しており、今回の変更は、居住場所と生活援助を提供する児童自立生活援助事業について対象年齢や実施場所を弾力化し、制度を再編したものだ。こども家庭庁のガイドラインは、里親や児童養護施設などとの関係が退所後に薄れ、本人がどこでどのような生活を送っているのか把握できなくなる場合があることも制度改正の理由として挙げている。

同時に創設されたのが「社会的養護自立支援拠点事業」である。社会的養護経験者らが立ち寄れる場所を設け、相互交流、情報提供、相談・助言、関係機関との連絡調整などを行う。こども家庭庁によると、制度開始直後の2024年5月1日時点では50自治体55か所だったが、2025年4月1日時点では57自治体63か所へ増えた。拠点は、自立援助ホームのように住居を提供する事業とは役割が異なり、施設や里親家庭を離れた後にも相談関係を持ち直せる「アフターケア」の入口を担う。

制度が整っても、利用できる支援には地域差がある。こども家庭庁は2025年度の調査研究課題で、児童自立生活援助事業や社会的養護自立支援拠点事業について「事業の実施状況や支援内容には地域や事業所間でばらつきがある」と明記した。ガイドラインも、社会的養護経験者への対応には地域間格差があり、十分な支援が行き渡っていないとの指摘を記している。施設退所後に転居した人、過去に支援を断った人、就職後に失業した人などが、数年後に生活上の問題を抱えた場合でも相談先を見つけられる仕組みかどうかは、拠点数だけでは判断できない。

社会的養護を経験した若者にとって、成人年齢への到達と生活上の自立は同じではない。住まい、進学費用、就職、保証人、人間関係などを家庭に頼れない場合、制度上の年齢で支援を区切ることが生活困窮や孤立につながることがある。改正児童福祉法は、社会的養護経験者の実態把握と必要な自立支援を都道府県等の業務として明確にした。こども家庭庁と都道府県等による次の検証では、63か所という拠点数だけでなく、相談者数、住居・進学・就労への接続、支援終了後の再相談、地域外へ転居した人への対応を継続的に把握できるかが制度の実効性を示す指標となる。

人権ニュース編集部

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