沖縄県、高校生調査を公表 困窮層21.4%、暮らしの苦しさ残る

この記事のポイント

1.沖縄県は5月26日、令和7年度「沖縄こども調査(高校生調査)」の結果を公表した。
2.県立高校2年生と保護者を対象に調査し、有効回収数は生徒7,355件、保護者7,160件だった。
3.困窮層の割合は21.4%と2022年調査より低下したが、暮らしを「苦しい」と感じる世帯や、食料・衣料を買えなかった経験は増えている。

令和7年度沖縄県こどもの実態調査

沖縄県こども未来部こども若者政策課は5月26日、令和7年度「沖縄こども調査(高校生調査)」の結果を公表した。調査は、こどもの貧困対策を効果的に進めるため、沖縄県内のこどもと家庭の生活実態、支援ニーズ、社会・経済状況が生活や成長に与える影響を把握・分析する目的で実施したもの。結果概要、報告書、高校生向けレポート、調査票を県ホームページに掲載している。

対象は、県立高等学校に通う高校2年生とその保護者で、22歳以上と通信制課程の在籍者は除いた。調査期間は2025年9月12日から9月26日まで。沖縄県から委託を受けた一般社団法人Co-Linkが、沖縄大学の協力を得て調査を実施した。配布数は1万2,978世帯で、有効回収数は生徒7,355件、保護者7,160件。有効回収率は生徒56.7%、保護者55.2%、生徒と保護者のマッチング件数は7,003件だった。

調査では、世帯人数と手取り収入から等価可処分所得を算出し、貧困線を基に経済状況を分類した。2025年調査では、貧困線未満となる低所得層Ⅰは21.4%で、2022年調査の26.3%から低下した。2016年調査との比較でも、困窮層の割合は7.9ポイント減っている。所得面では改善が見える一方、沖縄県は、世帯収入の増加が物価高騰に追いついていない可能性を示している。

生活実感には別の重さが残る。保護者が現在の暮らしを「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた割合は、困窮層で2016年の68.3%から2025年の78.4%に増えた。非困窮層でも35.2%から45.9%に上昇している。1か月の食費では、3万円未満の割合が2016年の15.3%から2025年の4.6%に減り、8万円以上は12.1%から26.4%に増えた。食料・衣料が買えなかった経験も、2025年調査では増加に転じ、2016年より高い割合となった。

高校生活にも経済状況の影響が表れている。部活動への参加状況では、「参加している」割合が全体で2016年の63.5%から2025年の57.9%に下がった。参加していない理由では、「参加したい部活動がないから」に加え、「部費や部活動に費用がかかるから」を選ぶ生徒の割合が増えた。通学では、バス・モノレール利用時の交通費について、困窮層で「交通費がかからない」とする割合が1.0%から41.6%に上がっており、支援制度や通学費負担の変化が生徒の移動環境に影響していることがうかがえる。

人権上の論点は、貧困を単に世帯所得の問題として扱わず、こどもの学び、進路、地域参加、健康、相談機会に結びつけて見る点にある。進学希望者の第一希望では、県外大学を選ぶ生徒が全体で4.9ポイント、困窮層で6.9ポイント増えている。進路の選択肢が広がること自体は前向きな変化だが、交通費、受験費用、住居費、家計負担が重なれば、希望と実現の間に差が生じる。沖縄県は、今回の高校生調査を、こどもや子育て家庭への支援策に役立てる基礎資料として扱う。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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