1.人権教育啓発推進センターが、令和8年度法務省委託「インターネット上の人権問題に関する実態調査」の仕様書を公表した。
2.調査は、ネット上で発生・流通する人権問題に関連する投稿等を、媒体別・対象区分別・時系列別に把握する。
3.AI分類と人手確認を組み合わせ、今後の人権施策の検討に使う基礎資料を作成する。

公益財団法人人権教育啓発推進センターは、令和8年度法務省委託「インターネット上の人権問題に関する実態調査(インターネット調査)」業務の入札仕様書を公表した。履行期間は契約締結日から令和9年3月31日まで。成果物の納品期限は令和9年1月29日とされている。
仕様書によると、調査の目的は、インターネット上で発生・流通する人権問題に関連する言動の発生状況を、可能な範囲で客観的に把握し、関係施策の検討に資する基礎資料を得ることにある。対象は、利用者の多い媒体を中心とした投稿・書き込み等で、調査対象の詳細、対象区分、検索語設計、分類基準、対象媒体、対象期間などは、取扱制限資料の別紙1から4で示すとしている。
この事業は、ネット上の人権問題を網羅的に拾い上げる調査ではない。仕様書も、インターネット上では膨大な量の情報発信が行われているため、すべての投稿等を把握することを目的としないと明記している。むしろ、媒体ごとの取得可能性、検索上限、API制約、削除や非表示による欠測などを整理し、調査の限界を明示した上で、比較可能なデータを作ることに重点を置く。
業務内容は、作業計画の策定、対象媒体と取得方法の整理、検索語・検索式の設計、投稿等の取得、必要に応じたサンプル抽出、分類、集計・分析、報告書作成に分かれる。検索語や検索式は試行検索を行い、抽出件数、ノイズ比率、典型例の捕捉状況を評価する。変更履歴も記録し、調査結果がどの条件で得られたものかを後から検証できるようにする。
分類では、AI分類と人手確認を組み合わせることが想定されている。受注者は分類コードブックを作成し、研修、二重判定、一致率などの品質管理を行う。集計・分析では、媒体別、対象区分別、時系列別、分類別の集計に加え、可能な範囲で投稿等の流通・拡散、反復投稿、拡散指標も扱う。ネット上の差別的言動や誹謗中傷を、件数だけでなく、どのように広がるのかまで把握しようとする設計である。
人権上の意義は、被害の発生後に個別相談や削除依頼へつなぐだけでなく、どのような人権問題が、どの媒体で、どの時期に、どの程度発生しているのかを行政が把握しようとしている点にある。ネット上の投稿は、名誉やプライバシーを侵害するだけでなく、差別情報を反復・拡散させ、学校、職場、地域生活に影響を及ぼす場合がある。投稿の実態を一定の方法で把握することは、啓発教材、相談窓口の周知、地方公共団体の研修内容を見直すための前提となる。
入札は総合評価落札方式で行われる。質問書の提出期限は令和8年6月17日午後5時、提案書等の提出期限は7月3日午前10時、入札書の提出期限と開札は7月13日とされている。応募条件には、プライバシーマークまたはISO/IEC 27001認証の取得、各府省の競争参加資格などが掲げられた。人権教育啓発推進センターは、港区芝大門の同センターを納品場所とし、法務省に帰属する成果物として調査報告書と機械判読可能なデータを受け取る。
公益財団法人人権教育啓発推進センター「令和8年度法務省委託インターネット上の人権問題に関する実態調査(インターネット調査)業務に係る入札仕様書」
URL: http://www.jinken.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/01_R8internetchosa.shiyousho.pdf
