仮放免の子どもの権利課題を学習 C-Rightsユース講座

この記事のポイント

1.C-Rightsのユースメンバーが7月5日、仮放免中の高校生を支援する金澤伶氏から生活実態を学んだ。
2.在留資格のない家庭で、親の就労制限や生活困窮、進学途中の送還への不安が子どもに及ぼす影響を取り上げた。
3.子どもの権利条約は、本人や父母の地位にかかわらず、教育や生活、家族関係に関する権利を保障している。

仮放免の状況におかれている子どもたちの現状を知る学習会

認定NPO法人国際子ども権利センター(C-Rights)は2026年7月5日、「No ヘイト/Yes 共生~みんなでつくる海外ルーツ&アライ動画プロジェクト」の第2回対面ミーティングを開いた。高校生や大学生を中心とするユースメンバーが、仮放免の状態にある高校生を支援する金澤伶氏から、「不法滞在者ゼロプランから一年 排外主義の制度化と難民・移民の子どもたちに起きていること」と題した講義を受けた。プロジェクトは、公益財団法人パブリックリソース財団のY’sファンド D&I基金による助成事業で、週1回のオンライン会議と月1回の対面会議を軸に進めている。

金澤氏は、政府が使う「ルールを守らない外国人」という表現が、在留資格や個別事情の異なる外国人を一括して捉える意識につながると指摘した。講義では、刑法犯検挙人に占める不法滞在者の割合を0.25%と説明し、取り締まりを強調する政策や言説によって、海外にルーツを持つ家庭で家族の収容や送還への不安が強まっていると報告した。ただし、C-Rightsの掲載記事には、この0.25%という数値の算定に用いた統計資料は示されていない。

仮放免中の家庭については、親の就労が認められず、利用できる公的支援も限られるため、十分な食事を確保できない子どもがいると金澤氏は説明した。学校で勉強や部活動を続け、大学進学を目指していても、家族とともに送還される可能性があり、将来への希望を失う子どももいるという。仮放免は、収容令書または退去強制令書によって収容されている人を一定の条件の下で一時的に解放する制度であり、仮放免そのものによって在留資格や就労資格が与えられるわけではない。

出入国在留管理庁は2025年5月23日、「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表し、入国管理、在留管理・難民審査、出国・送還の各段階で対策を進めてきた。2026年5月22日には「強力推進パッケージ」をまとめ、退去強制手続や送還の迅速化などを継続している。C-Rightsの学習会は、こうした政策を在留管理の効率や件数だけで捉えず、日本で育つ子どもの生活、教育、家族関係にどのような影響が及ぶかを検討する場となった。

子どもの権利条約第2条は、子ども本人や父母、法定保護者の地位などによる差別なく、条約上の権利を保障するよう締約国に定めている。同条約は第3条で子どもの最善の利益、第27条で相当な生活水準、第28条で教育への権利を掲げる。在留資格をめぐる行政判断と、子どもが食事、教育、医療、家族との生活を保障されることは、区別して検討しなければならない。

C-Rightsは今後、海外にルーツを持つ子ども・ユースと、共に活動するアライから経験や思いを伝えるショート動画を募る。7月5日の講義で共有した仮放免中の子どもの生活や進学の問題も踏まえ、差別や排外的な言説に対して子ども自身の声を発信する活動へつなげる。

出典

認定NPO法人国際子ども権利センター「仮放免の状況におかれている子どもたちの現状を知る学習会を開催しました。」
URL:https://c-rights.org/260705_kyopro_gakushukai/

参考 出入国在留管理庁「『国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン』について」
URL:https://www.moj.go.jp/isa/policies/others/05_001390.html

参考 外務省「児童の権利に関する条約」全文
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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