大阪府、児童虐待年次報告を公表 相談1万5561件

この記事のポイント

1 大阪府は2026年6月12日、「大阪府子どもを虐待から守る条例」第9条に基づく令和6年度年次報告書を公表した。
2 大阪府子ども家庭センターの令和6年度児童虐待相談対応件数は1万5,561件で、心理的虐待が62.0%を占めた。
3 報告書は、妊娠期からの発生予防、48時間以内の安全確認、市町村支援、人材育成を一体的に整理している。

大阪府

大阪府福祉部子ども家庭局家庭支援課は2026年6月12日、「大阪府子どもを虐待から守る条例」第9条に基づき、府と市町村における令和6年度の児童虐待防止施策の実施状況をまとめた年次報告書を公表した。報告書は令和8年6月付で作成され、発生予防、早期発見・早期対応、保護・支援、人材等の育成を柱に、府の事業と市町村の取組を整理している。

同条例は、平成22年に大阪府内で児童虐待により子どもが亡くなる重大事案が相次いだことなどを受け、平成23年2月に施行された。児童虐待防止法に定める身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待に加え、保護者が子どもの財産を不当に処分する「経済的虐待」を虐待の一態様として明確化した点に特徴がある。通告を受けた場合、必要があると認めるときは48時間以内に直接目視を基本として安全確認を行うことも、条例に明記されている。

令和6年度の大阪府子ども家庭センターにおける児童虐待相談対応件数は1万5,561件で、令和5年度の1万5,140件から421件増えた。大阪市こども相談センターは6,593件、堺市子ども相談所は2,473件。府内41市町村の相談対応件数は1万7,374件で、前年度の1万6,564件を上回った。全国の児童相談所の対応件数は22万3,691件だった。

大阪府子ども家庭センターの相談種別を見ると、心理的虐待が9,647件で62.0%を占め、身体的虐待は3,169件で20.4%、ネグレクトは2,578件で16.6%、性的虐待は167件で1.1%だった。主な虐待者は実母が8,114件で52.1%、実父が6,207件で39.9%。相談経路では警察等が8,433件、54.2%と過半を占めており、家庭内の問題を外部機関がどう把握するかが引き続き施策上の課題となっている。

報告書が示す施策は、相談を受けてからの対応だけではない。思いがけない妊娠等の相談窓口「にんしんSOS」では令和6年度に実人数649人から相談を受け、乳児家庭全戸訪問事業は43市町村で実施された。乳児家庭全戸訪問の訪問実績は96.0%で、養育支援訪問事業では専門的相談支援を29自治体、育児・家事援助を21自治体が行った。スクールソーシャルワーカー活用事業では、総相談件数8万1,677件のうち、虐待に関するものが1万1,064件とされた。

人権上の論点は、児童虐待を「家庭の内部」に閉じず、子どもの生命、身体、発達、意見表明、安心して暮らす権利に関わる行政課題として扱う点にある。大阪府子どもを虐待から守る条例は、子ども家庭センター、市町村、学校、医療機関、警察、住宅管理者を含む関係者の協力を前提にしている。今回の年次報告書は、件数の増減だけでなく、大阪府家庭支援課がどの部署、どの市町村事業、どの相談経路を通じて子どもの安全確認と保護者支援を進めているかを確認する資料となる。

出典

大阪府「大阪府子どもを虐待から守る条例第9条に基づく年次報告書を作成しました」
URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/fumin/o090130/prs_51107.html

関連資料 大阪府「大阪府子どもを虐待から守る条例9条に基づく年次報告書」
URL:https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/132014/houkokusyo.pdf

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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