1. 長野県が、在宅勤務中の虚偽報告や公用パソコンの不適正使用、パワーハラスメントを理由に、29歳の男性主事を戒告処分とした。
2. 在宅勤務は55日間、公用パソコンでの業務外操作は20日間、計211回に及んだと県は認定した。
3. 管理監督者にも訓諭、厳重注意、口頭注意などが行われ、本人の服務違反だけでなく職場の監督体制も問われる事案となった。

長野県は2026年6月15日、総務部の現地機関に勤務する29歳の男性主事を戒告処分とした。県によると、職員は2025年度、在宅勤務で実施できる業務が限られていたにもかかわらず、55日間にわたって在宅勤務を取得し、必要な職務を遂行しなかった。上司から具体的な業務内容の報告を求められても応じず、定型文をコピー・アンド・ペーストした実際の勤務状況と異なる報告を繰り返した。
出勤日には、公用パソコンを使って業務と関係のない操作を20日間、計211回行った。職員は同僚や上司に対し、大声で強く怒鳴るなどのパワーハラスメント行為も行ったと認定された。県は一連の行為を、職務専念義務違反などに当たると判断した。
地方公務員法第35条は、職員に対し、勤務時間と職務上の注意力を職責の遂行に用いる義務を課している。同法第29条に基づく懲戒処分には、免職、停職、減給、戒告の4種類がある。長野県の指針では、戒告を「非違行為に係る責任を確認させ、その将来を戒める処分」と定義する。虚偽報告、職場のコンピュータの不適正使用、単発のパワーハラスメントについては、いずれも減給または戒告を標準的な処分としている。
今回の問題は、在宅勤務という働き方自体ではなく、勤務実態に反する報告と職務の不履行にある。在宅勤務では、上司が勤務中の行動を常時確認できないため、担当業務、成果物、進捗、連絡方法を明確にする運用が欠かせない。報告を形式的な定型文で済ませる状態を55日間にわたり是正できなかった経緯は、職員個人の服務規律と併せて管理側の確認方法を検証すべき事情を示している。
パワーハラスメントは、同僚や上司の人格と尊厳を傷つけ、安全に働く環境を損なう行為である。ただし、県の公表資料には、怒鳴る行為の回数や期間、被害を受けた職員への影響は記載されていない。懲戒処分の公表では行政の説明責任がある一方、関係職員のプライバシーを守る必要もある。長野県の公表基準が、原則として所属部局、職位、年齢、性別、処分理由などに情報を限定しているのは、この二つを調整する仕組みといえる。
県は管理監督者について、1人を訓諭、1人を厳重注意、1人を口頭注意とし、既に退職した管理監督者1人も、在職中であれば戒告相当だったと整理した。長野県は、在宅勤務55日間の成果確認が機能しなかった理由と、大声による威圧行為を職場内で早期に把握できなかった経緯を、管理監督者への措置を含めて検証する必要がある。
長野県「職員の懲戒処分を行いました」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/gyokaku/happyou/20260615press.html
長野県「懲戒処分等の指針」
URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/gyokaku/kensei/soshiki/soshiki/kencho/jinji/shishin.html
e-Gov法令検索「地方公務員法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261

