上鶴間中400人、ジェンダーと情報の偏りを学習

この記事のポイント

1.相模原市立上鶴間中学校の1~3年生400人が、ジェンダーとメディア・リテラシーを学んだ
2.性別による進路選択の制約、エコーチェンバー、写真投稿時の同意などを具体例から考えた
3.LGBTQ+とアウティングも取り上げ、プライバシーを守る行動を学校生活に引き寄せて説明した

文教学院大学 ヒューマン・データサイエンス学部 准教授 登丸 あすか氏

神奈川県立かながわ男女共同参画センター(かなテラス)は5月13日、相模原市立上鶴間中学校で「ジェンダー平等×メディアリテラシー講座」を開いた。対象は1~3年生400人で、時間は午後1時35分から3時25分まで。文京学院大学ヒューマン・データサイエンス学部准教授の登丸あすか氏が、性別による固定観念、インターネット上の情報の偏り、写真や動画を公開する際の注意点などを扱った。主催はかなテラス、後援は神奈川県教育委員会。

講座では、色、態度、職業に結び付けられがちな「女らしさ」「男らしさ」を取り上げた。登丸氏は、進路や生活上の選択を性別に合わせるのではなく、男らしさや女らしさを過度に意識せず、自分らしく生きられる社会について説明した。生徒は、子どもの頃に見ていたテレビ番組、インターネット動画、本などを振り返り、自分がどのようなメディアに接してきたかをグループで共有した。情報の内容だけでなく、自分の価値観がどのような情報によって形づくられてきたかを見直す構成となった。

インターネットに関しては、投稿した写真や動画を完全に消すことの難しさを示し、公開前に一度立ち止まることや、一緒に写った友人に投稿してよいか確認することを伝えた。同じ意見を持つ人の情報ばかりが表示されやすくなる「エコーチェンバー」も紹介し、異なる媒体や立場から発信された情報を見ることで、判断の偏りを小さくできると説明した。文部科学省も、情報モラルを情報社会で適切に行動するための考え方や態度として整理し、学校向けに写真や動画の発信、情報の真偽などを扱う教材を公開している。

LGBTQ+をめぐっては、友人から打ち明けられた性的指向を本人の了解なく周囲に伝える「アウティング」をしないことや、「誰が好きか」といった日常的な質問を負担に感じる人もいることを学んだ。これは会話上の配慮にとどまらず、本人が自分に関する情報をどこまで、誰に伝えるかを決めるプライバシーの問題でもある。児童の権利条約16条は子どもの私生活への恣意的、不法な干渉からの保護を定め、17条は多様な情報源から情報や資料を利用できる環境について規定している。今回の講座は、情報を受け取る権利と、本人の秘密を守る権利を、SNS投稿や友人関係に結び付けて考える機会となった。

かなテラスは2026年3月11日にも、神奈川県立厚木清南高等学校で同種の講座を実施し、性の多様性、広告に表れる性別役割、SNS利用時の加害・被害のリスクを扱っている。上鶴間中学校の生徒からは、偏見を持つこと自体を責めるのではなく、他者を傷つけたり、秘密を周囲に広めたりする行動を避けるという説明に安心したとの声が寄せられた。かなテラスの出前講座は、ジェンダー教育と情報教育を切り離さず、進路選択、友人との会話、写真投稿という中学生の日常場面から考えさせる内容となっている。

出典

神奈川県「令和8年度『ジェンダー平等×メディアリテラシー講座』実施報告」
URL:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/x2t/kouza_event/medhialiteracy2026.html#kamitsuruma

文部科学省「情報モラル教育ポータルサイト」
URL:https://www.mext.go.jp/zyoukatsu/moral/

外務省「児童の権利に関する条約 全文」
URL:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html

人権ニュース編集部

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