ロヒンギャ難民描く『ロストランド』上映 横浜で対話イベント

この記事のポイント

1.世界の医療団は8月30日、ロヒンギャ難民を描いた映画『LOST LAND/ロストランド』の上映会を横浜市で開く。
2.藤元明緒監督、ライターの今泉千尋氏、世界の医療団の中嶋秀昭氏が、作品制作と難民キャンプの現状を語る。
3.バングラデシュで約120万人が避難生活を続ける一方、国際支援の縮小で医療、教育、食料などへのアクセスが制限されている。

藤元明緒さん 『ロストランド』映画監督

認定NPO法人世界の医療団は2026年8月30日、ロヒンギャ難民を題材とした映画『LOST LAND/ロストランド』の上映会とトークイベントを、横浜市中区のサンモールインターナショナルスクールで開く。午後2時から4時40分ごろまでで、参加費は無料、定員は300人。99分の映画上映後、藤元明緒監督、ライターの今泉千尋氏、世界の医療団海外事業プロジェクト・コーディネーターの中嶋秀昭氏が約45分間対談する。映画には日本語と英語の字幕を付ける。

『LOST LAND/ロストランド』は、ロヒンギャの人々の証言を基に、故郷を追われた子どもたちの移動をフィクションとして描いた作品で、第82回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門の審査員特別賞などを受賞した。藤元監督は、在日ミャンマー人家族を描いた『僕の帰る場所』や、ベトナム人技能実習生を扱った『海辺の彼女たち』を制作してきた。世界の医療団は本作の取材に協力しており、映画の表現と支援現場で確認されている状況を同じ場で検討する構成とした。

今泉氏は2017年10月以降、バングラデシュ、ミャンマー、マレーシア、タイなどでロヒンギャの人々を取材している。8月には、ロヒンギャの夫婦を描いた小説『「0825」に私たちは殺され続ける あるロヒンギャ夫婦の物語』を集英社から刊行する予定で、世界の医療団が同書の取材にも協力した。トークでは、映画と小説が事実の羅列ではなく、登場人物を通して難民の経験を伝える際の制作過程や、作品に盛り込めなかった現実も取り上げる。

2017年8月、ミャンマー西部ラカイン州での軍による弾圧を受け、75万人を超えるロヒンギャがバングラデシュへ逃れた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2026年には約120万人がバングラデシュで避難生活を送り、その多くがコックスバザール県の過密なキャンプに暮らす。就労機会が制限され、生活の大部分を人道支援に依存する状況にあるが、支援資金は不足している。こうした状態は、生命や安全だけでなく、医療、教育、食料、尊厳ある生活を長期にわたって制約する。

世界の医療団は2017年からロヒンギャ難民キャンプで医療支援を始め、現在も健康教育と医療体制の強化に取り組む。フィクションは、統計だけでは伝わりにくい避難の恐怖や家族の喪失を描ける一方、一つの物語がロヒンギャ全体を代表するわけではない。8月30日のトークでは、藤元監督と今泉氏による表現を、中嶋氏が報告するキャンプの医療状況や支援縮小の影響と照合し、作品の外側で続く避難生活を参加者に伝える。

出典

世界の医療団「映画『LOST LAND/ロストランド』上映会&トークイベント」
URL:https://www.mdm.or.jp/news/30465/

参考 UNHCR「Rohingya emergency」
URL:https://www.unhcr.org/emergencies/rohingya-emergency

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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