1.愛知県が「子どもの権利に関する条例(仮称)」骨子案について、子ども・若者向け意見募集を始めた。
2.対象は愛知県内に住む、おおむね小学生から30歳未満までで、募集期間は2026年7月1日から31日まで。
3.骨子案には、子どもの意見反映、居場所づくり、相談体制、子どもの権利擁護委員会の設置などが盛り込まれている。

愛知県は2026年7月1日、「子どもの権利に関する条例(仮称)」骨子案について、子ども・若者向けのパブリックコメントを開始した。対象は、愛知県に住んでいるおおむね小学生から30歳未満までの子ども・若者で、募集期間は7月31日まで。県は骨子案をもとに子ども・若者向け資料を作成し、資料を読んで気づいたことや考えたことを募っている。
県が示した骨子案は、子どもの権利が尊重され、全ての子どもが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目的に掲げる。条例上の「子ども」は「心身の発達過程にある者」とされ、施策の対象となる子どもの範囲は取組ごとに定める。基本理念には、差別的取扱いを受けないこと、養育・生活保障・教育を受ける権利が等しく保障されること、年齢と発達の程度に応じて意見表明や社会活動への参画の機会が確保されること、子どもの最善の利益が優先して考慮されることなどが並ぶ。
骨子案は、県の責務だけでなく、保護者、学校関係者等、事業者、子どもや子育てに関する支援を行う民間団体、県民の役割も整理している。事業者については、雇用する労働者の職業生活と家庭生活の充実が図られるよう、雇用環境の整備に努めることを掲げた。子どもの権利条例を、家庭や学校だけの問題ではなく、働く保護者を支える職場環境や地域の支援体制にも接続している点が、この骨子案の実務上の特徴といえる。
施策面では、こども基本法に基づく都道府県こども計画である「愛知県こども計画」を踏まえた計画的推進、子どもや保護者などの意見反映、子どもの社会参画、地域で安全・安心に自分らしく過ごせる居場所づくり、児童の権利に関する条約やこども基本法の趣旨を含む権利の周知、いじめ・虐待などへの相談対応が盛り込まれている。子ども・若者向け資料では、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を例示し、条例の内容を平易な表現で説明している。
人権上の論点は、条例制定の過程そのものにもある。子どもの権利を定める条例であれば、子どもを保護の対象として扱うだけでなく、意見を表明し、施策形成に関わる主体として扱えるかが問われる。愛知県が大人向けの県民意見提出手続とは別に、子ども・若者向け資料と専用フォームを用意したことは、骨子案に掲げる意見表明や情報提供を、条例制定前の段階で具体化する手続といえる。
骨子案では、知事の附属機関として「愛知県子どもの権利擁護委員会」を設置することも示された。委員会は5人以内で組織し、申立てに応じた調査・調整、調査結果に基づく知事への意見、子どもの権利擁護に関する重要事項の調査審議などを担う。権利侵害を受けた子どもや保護者、関係者は、相談をしても解決が見込めない場合、知事に調査・調整を申し立てることができる。今回寄せられた意見は、愛知県福祉局子育て支援課子ども政策グループが取りまとめ、条例制定時の参考とする。
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