4カ国の若者40名がインドネシアで連帯 ハンセン病差別のない未来へ誓い

笹川保健財団は2026年4月3日、インドネシア・マカッサルで同年2月に開催した「笹川ハンセン病イニシアチブ ヤングスカラープログラム 国際ワークショップ」の報告を公表した。ワークショップには、インド、インドネシア、コロンビア、バングラデシュの4カ国から、ハンセン病当事者の若者や活動を支えるメンターら約40人が参加した。5日間のプログラムでは、各国での活動報告、今後の計画発表、当事者団体の現場視察、ピアカウンセリング活動の見学などが行われた。

同プログラムは、ハンセン病当事者の若者を対象に、知識、発信力、リーダーシップ、職業的自立を支援する取組である。対象は18歳から35歳の若者で、ハンセン病に関する正しい理解に加え、スピーチや地域活動、職業訓練などを通じて、各国の当事者コミュニティを支える人材の育成を目指している。看護、会計、医療事務、グラフィックデザイン、コンピュータースキルなど、参加者の希望や各国の事情に応じた支援も含まれており、単なる奨学金ではなく、差別を受けてきた当事者が社会の中で役割を回復するためのエンパワメント施策として位置づけられる。

ハンセン病は治療法が確立されている一方、世界各地では今も患者・回復者への偏見や差別が根強く残っている。病気そのものへの誤解に加え、後遺症、貧困、教育機会の不足、就労上の排除、家族や地域社会からの孤立が重なり、当事者の生活を制約する場合がある。今回のワークショップでは、インドネシアの当事者団体「ペルマタ」の活動現場や保健局、患者宅を訪問し、行政への働きかけやピアカウンセリングの実際を学んだ。国境を越えて経験を共有することは、各国で孤立しがちな当事者活動を支えるネットワークづくりにもつながる。

人権の観点から見ると、この取組の意義は、当事者を支援の受け手にとどめず、地域社会を変える担い手として位置づけている点にある。ハンセン病をめぐる差別は、医療の問題だけではなく、教育、雇用、地域参加、家族関係、情報発信の問題でもある。若い当事者が自らの経験を語り、同じ立場の人を支援し、行政や地域に働きかける力を持つことは、差別の解消を外部からの啓発だけに頼らない仕組みをつくるうえで重要である。

日本でも、かつての隔離政策により、患者・元患者とその家族が長く偏見と排除にさらされてきた歴史がある。国内では新規患者は少なくなっているが、ハンセン病問題を過去の制度被害としてのみ扱うのではなく、感染症や障害、貧困、出自を理由とする差別がどのように生活機会を奪うのかを学ぶ教材として捉える必要がある。今回の国際ワークショップは、当事者の声と若い世代の行動を軸に、ハンセン病差別の解消を次の段階へ進めようとする取組であり、国際協力や人権教育においても参考となる事例である。

出典
人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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