カンボジア帰還民らに約132万ドル支援 日本と国連3機関が共同事業

この記事のポイント

1.日本政府の支援を受け、UNFPA、IOM、UN Womenがカンボジアの帰還移住労働者と国内避難民を支援する12カ月間の共同事業を開始した。
2.タイとの国境情勢の悪化に伴い、約90万人の移住労働者がカンボジアへ帰還し、地域の公共サービスや世帯収入に影響が生じている。
3.保健医療、ジェンダーに基づく暴力への対応、就労支援、人身取引防止、女性の意思決定参加を組み合わせる。

タイ・カンボジア国境の情勢悪化 国連機関と日本政府、帰還民・国内避難民などへの包括的な支援を開始

国連人口基金(UNFPA)、国際移住機関(IOM)、国連女性機関(UN Women)は2026年6月17日、タイ・カンボジア国境情勢の影響を受けた帰還移住労働者や国内避難民を支援する共同事業をプノンペンで開始した。日本政府の支援による事業で、総額は132万2,446米ドル、実施期間は12カ月。UNFPAへの日本政府の拠出額は、2025年度補正予算による47万2,460米ドルとなる。

事業名は「タイ・カンボジア国境紛争の影響を受けた帰還民等に対する緊急支援及びレジリエンス強化」。国境情勢の不安定化と警備強化により、国内避難が生じるとともに、タイで働いていた約90万人の移住労働者が急きょ帰国した。急激な人口移動は、受け入れ地域の医療や行政サービスに負担を与え、国境を越えた商取引や、タイからの送金に依存していた世帯の収入にも影響を及ぼしている。

UNFPAは、女性と少女5,000人に衛生用品を含むディグニティ・キットを配布する。患者が増加した国境地域の医療施設には分娩キットを提供し、ジェンダーに基づく暴力の被害者を中心に据えたカウンセリングや、支援機関へつなぐ体制を地方レベルで強化する。避難や帰還の過程では医療へのアクセスが途切れやすく、妊産婦や暴力被害者が必要な支援から取り残される危険があるため、物資配布と相談・紹介体制を併せて整備する。

IOMは、帰還者の職業訓練や就職支援、過去の学習・就業経験を技能として認める既習歴認定、中小企業への支援を進める。脆弱な移住者や人身取引の被害者には、権利に基づく保護支援を提供する。UN Womenは、帰還した女性移住者と避難女性が危機対応や復興計画、地域の意思決定に参加できるよう支援し、「My Journey Mobile App」や「GBV Safe App」を通じて保護情報や相談先へのアクセスを広げる。

今回の共同事業の特徴は、帰還者を一時的な救援物資の受給者として扱うだけでなく、医療、暴力被害からの保護、雇用、生計、地域参加を異なる機関が分担して支える点にある。女性と少女は移動中や帰還後に搾取、人身取引、ジェンダーに基づく暴力へさらされる危険が増す一方、復興に関する意思決定から除外される場合もある。UNFPA、IOM、UN Womenはカンボジア政府の労働職業訓練省、内務省、保健省、女性省などと連携し、帰還民と国内避難民の保護から地域での再統合までを進める。

出典

国連人口基金駐日事務所「タイ・カンボジア国境の情勢悪化 国連機関と日本政府、帰還民・国内避難民などへの包括的な支援を開始」

URL:https://tokyo.unfpa.org/ja/news/cambodia_2026

人権ニュース編集部

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