鳥羽高校定時制、朗読・音楽・手話で人権学習 多様な学びを接続

この記事のポイント

1.京都府立鳥羽高等学校定時制課程で7月13日、朗読、音楽、手話を組み合わせた全校人権学習会が開かれた。
2.鳥羽高校定時制には外国にルーツがある生徒が多く、30~60代の生徒も若い世代とともに学ぶなど、学習背景が多様である。
3.講義だけに依存しない参加型の教材は、多様な生徒が同じテーマに接する方法として、人権教育の手法そのものを考える材料になる。

京都府立鳥羽高等学校定時制課程 人権学習会

京都府立鳥羽高等学校定時制課程は7月13日、作詞家の鮎川めぐみさんとアルゴノータを招き、人権学習会を実施した。「アカショウビン」を全校で朗読したほか、京都府の人権啓発イメージソング「世界がひとつの家族のように」が作られた経緯を鮎川さんが説明。アルゴノータは「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」や「人生のメリーゴーランド」などを演奏し、最後は生徒らが手話を交えてイメージソングを歌った。学校に外国にルーツがある生徒が多いことも踏まえ、音楽を通じた世界のつながりが取り上げられた。

鳥羽高校定時制の教育環境を確認すると、この学習会が一般的な一斉講義とは異なる意味を持つことが分かる。同校には、中学校段階の国語・数学・英語を中心に学び直す学校設定科目「スタートライン」があり、複数教員による個別指導を取り入れている。30~60代の生徒も若い生徒と学んでおり、1998年度から成人特別入学者選抜も実施してきた。年齢、学習歴、言語・文化的背景が一様ではない定時制だからこそ、教材への入り口を一つに限定しない設計が関係してくる。

「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」は、人権教育を「人権尊重の精神の涵養を目的とする教育活動」と定義し、国や自治体が行う施策について「多様な機会の提供」「効果的な手法の採用」などを基本理念に掲げる。朗読、器楽演奏、対話、歌唱、手話を組み合わせた鳥羽高校の構成は、言葉による説明だけで完結させず、複数の方法で同じ主題に参加できるようにした実践と読むことができる。外国にルーツがある生徒が多いという学校事情とも接続する部分だ。

ただし、音楽を共に楽しむことと、差別や権利侵害について理解し、相談・救済につながれることは同じではない。学習会の効果を考えるなら、生徒が外国人差別や学校生活上の困難を自分の問題として考えられたか、授業後に意見を表明できたか、言語面や障害の有無にかかわらず参加しやすかったかといった点も確認材料になる。京都府が2013年に制作した「世界がひとつの家族のように」は、歌手や学生、団体が参加する「広め隊」によって啓発活動に活用されてきた。鳥羽高校定時制の7月13日の学習会は、その府の啓発資源を、多様な学習背景を持つ学校現場で具体化した事例となった。

出典

京都人権ナビ「京都府立鳥羽高等学校定時制課程 人権学習会」
URL:https://kyoto-jinken.net/informations/informations-7847/

京都府立鳥羽高等学校定時制課程「鳥羽定の特色」
URL:https://www.kyoto-be.ne.jp/toba-hs-tei/characteristic.html

京都人権ナビ「イメージソング広め隊」
URL:https://kyoto-jinken.net/imagesong/propagation/

文部科学省「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」
URL:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinken/siryo/1318152.htm

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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