1.鹿児島県は2026年度も、県内企業や経済団体へジェンダー平等・女性活躍の専門家を無料で派遣する。
2.社内研修だけでなく、男性の育児・介護休業、一般事業主行動計画、就業規則の見直しまで支援する。
3.募集は16団体程度で、対面とオンラインに対応し、派遣後のフォローアップも行う。

鹿児島県は2026年度、県内企業や経済団体、業界団体を対象に、職場のジェンダー平等と女性活躍を支援するアドバイザー派遣を実施する。派遣期間は2027年3月までで、募集数は16団体程度。アドバイザーの謝金と旅費は県が負担し、対面だけでなくオンラインでの研修や相談にも対応する。前年度に続く事業で、県は2026年7月24日に今年度の募集内容を公表した。
対象となる企業は、原則として鹿児島県内に本社を置く事業者。経済団体や業界団体が開く研修会、定例会も利用できる。企業には1社当たり1~3回程度、団体には1回、アドバイザーを派遣する。単発の講演だけで終わらせず、企業側への聞き取り、課題分析、講師や研修内容の提案、日程調整、実施後のフォローアップまでを一つの流れとしている。
県が示した支援メニューは四つある。第一は、女性活躍に向けた社内の意識改革や、女性特有の健康課題への理解を扱う研修。第二は、男性の育児・介護休業取得に関する法改正、助成金、休業中の経済的支援を学ぶ研修である。第三は、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定支援。第四は、多様な人材が働き続けられるよう、就業規則や働き方を見直す制度改善支援となる。取り組む課題が決まっていない企業についても、「何から取りかかればよいか」という段階から相談を受け付ける。
派遣予定の専門家には、ダイバーシティとワーク・ライフ・バランスを専門とする渥美由喜氏、ワークショップデザイナーの髙﨑恵氏、オフィスピュア代表で男女共同参画政策アドバイザーのたもつゆかり氏、特定社会保険労務士で社会保険労務士A&Sパートナーズ代表の吉永亜矢氏が名を連ねる。意識やコミュニケーションを扱う研修と、行動計画や就業規則を扱う実務支援を、企業の課題に応じて組み合わせる構成である。
鹿児島県によると、前年度の受講者の96%が研修内容に満足したと回答した。受講者からは、「女性を活躍させる」という一方向の発想ではなく、性別にかかわらず対等に話し、考えられる職場づくりを学んだとの声や、自身の中にあるジェンダー・バイアスが意思決定に影響していないかを振り返る機会になったとの意見が寄せられた。ただし、満足度は研修への評価であり、管理職比率、賃金差、休業取得率などが改善したことを直接示すものではない。県が派遣後のフォローアップを設けているのは、研修内容を社内制度や日常の業務運営へつなげるためでもある。
企業を取り巻く制度も変わっている。2026年4月1日に施行された改正女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主について、男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が必須となった。101人以上の企業には、自社の状況を把握、分析し、数値目標を含む一般事業主行動計画を策定する義務もある。鹿児島県の派遣事業は、こうした法令対応を形式的な計画提出で終わらせず、企業ごとの課題に即した目標や取組へ落とし込む支援にもなる。
男性の育児・介護休業を女性活躍と同じ事業で扱う点も、この事業の特徴である。育児や介護を女性が主に担うという固定的な役割分担が職場に残れば、女性の就業継続、配置、昇進の機会にも影響する。男性が休業を取得できる制度と職場環境を整えることは、男性本人の家庭参加を支えるだけでなく、性別によって仕事とケアの負担が偏る構造を見直すことにつながる。2025年に段階施行された改正育児・介護休業法も、育児期の柔軟な働き方や男性の育児休業取得状況の公表対象拡大など、企業の対応範囲を広げている。
職場におけるジェンダー平等は、女性だけを対象とする優遇措置ではない。採用、配置、評価、昇進、賃金、休業、健康上の配慮などの仕組みに、性別による参加機会の差が生じていないかを確認する取組である。鹿児島県が示した四つのメニューは、職員の意識だけに原因を帰さず、行動計画、就業規則、休業制度、意思決定の方法までを対象としている。
申込みは専用フォームのほか、メール、電話、FAXで受け付ける。運営事務局はMBCサンステージ内に置き、電話番号は099-255-6144、メールアドレスはevent@sunstage.co.jp。鹿児島県は、16団体程度の募集枠が定数に達した段階で受付を終了し、2027年3月までアドバイザー派遣と事後のフォローアップを進める。
鹿児島県「職場でジェンダー平等や女性活躍を学ぶためのアドバイザーを派遣します!」
URL:
https://www.pref.kagoshima.jp/ab15/genderequalityr6.html
参考資料
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」
URL:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
参考資料
厚生労働省「育児・介護休業法について」
URL:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
参考資料
厚生労働省「法改正のポイント 育児休業制度特設サイト」
URL:
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/law-amendment/

