1.横須賀市が有限会社マザールと連携し、アートと対話を組み合わせた子どもの居場所を月2回開く。
2.制作活動や専門家とのトークに加え、学校や家庭、保育に関することを子どもや保護者が話せる場を設ける。
3.6月から8月までに全6回を企画し、7月19日以降は音楽会、平和を考える映画上映、切り絵を予定する。

横須賀市は2026年度、有限会社マザールと共同で、子どもの居場所づくり事業「アート&ライブラリー みんなのKICHI」を市内各地で月2回開催している。こども家庭庁の「NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業」に採択された取組で、家や学校以外でも子どもが安心して過ごし、自分の考えや感情を表現できる場をつくる。
「KICHI」の名称には、家庭や学校以外のサードプレイスとしての「基地」、集まる人に幸運が訪れる「吉」、地域の大人が知識や技能を生かす「機知」の三つの意味を込めた。主な活動は、絵画や工作に取り組む「アートワークショップ」、作家や音楽家、教育関係者らと語る「ライブラリートーク」、学校や保育、家庭生活で気になることを話せる場の三本柱となる。保育士をはじめ、子どもの教育に関わってきたスタッフが参加し、大人だけでなく子ども本人からの話も受け止める。
6月から8月までの企画には、不登校や発達障害、平和などを扱うトークと、壁画、新聞、切り絵を使った創作活動を組み合わせた。7月19日の音楽会では、音楽家の秦万里子氏が、発達障害のある双子の娘を育てた経験を踏まえて演奏と講演を行う。8月9日には、原爆漫画『はだしのゲン』の誕生と現在を追ったドキュメンタリー映画『はだしのゲンはまだ怒っている』を上映し、企画・監督・編集を担当した込山正徳氏が登壇する。映画は90分で、上映後に20分のトークを予定している。
開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | アート&ライブラリー みんなのKICHI |
| 開催頻度 | 月2回、市内各地で開催 |
| 内容 | アートワークショップ、ライブラリートーク、子どもや保護者が話せる場 |
| 申込 | 事前申込制。横須賀市の案内ページに掲載された申込フォームから申し込む |
| 主催 | 横須賀市 |
| 企画・運営 | 有限会社マザール |
| 問い合わせ | 横須賀市民生局福祉こども部子育て支援課 |
| 電話 | 046-822-8061 |
| 9月以降 | 日程が決まり次第、横須賀市が案内ページを更新 |
6月から8月までのプログラム
| 日程 | 内容 | 会場・時間 | 講師・ゲスト |
|---|---|---|---|
| 6月7日(日) 実施済み | アートワークショップ 「壁に海の絵を描こう!」 | 横須賀市青少年会館・青少年活動コーナー 午前11時~午後4時 | 鈴木イナ氏 |
| 6月21日(日) 実施済み | ライブラリートーク 「不登校と教育の未来~学校に行かない選択をしたキミへ~」 | 横須賀市青少年会館・会議室 午後1時30分~3時 | 矢萩邦彦氏 蓑田雅之氏 |
| 7月5日(日) 実施済み | アートワークショップ 「新聞の海を泳いでオブジェをつくろう!」 | 横須賀市総合福祉会館・5階創作活動室 午前10時~午後0時30分 | 木下美穂氏 |
| 7月19日(日) 開催予定 | ライブラリートーク・音楽会 「好きを極める。~天才の芽を伸ばすチカラ~」 | 横須賀市総合福祉会館・7階第1音楽室 午後2時~3時30分 | 秦万里子氏 |
| 8月9日(日) 開催予定 | 映画上映・トーク 「『はだしのゲンはまだ怒っている』から、平和を考えよう。」 | 横須賀市総合福祉会館・5階ホール 午前11時~午後1時 | 込山正徳氏 |
| 8月23日(日) 開催予定 | アートワークショップ 「切り絵コラージュで、夏の思い出をつくろう!」 | 横須賀市総合福祉会館・5階創作活動室 午前11時~午後4時 | さめさめぱんだ氏 |
こども家庭庁は2023年12月、「こどもの居場所づくりに関する指針」の閣議決定を受け、自治体とNPOなどが連携するモデル事業を進めてきた。行政が既存施設を用意するだけでなく、地域で活動する民間事業者の企画力や人的なつながりを取り込み、他地域でも参考にできる支援方法を蓄積する制度である。横須賀市は2026年1月に事業者を公募し、選定したマザールとの計画について国の採択を受けた。
子どもの居場所は、特定の事情を抱える子どもだけを集める場所とは限らない。自由に創作する、関心のある話を聞く、学校に行かない選択や発達の特性について語るといった複数の入口があることで、支援を受けることへの抵抗感を抑えながら地域の大人や同世代と接点を持てる。「みんなのKICHI」が掲げる三つの機能は、遊び、学び、相談を切り離さず、子どもがその日の気持ちに応じて過ごし方を選べるようにする試みでもある。
横須賀市とマザールは8月23日までの夏季企画を実施し、9月以降の会場やプログラムを決定後に市の案内ページで公表する。月2回の活動を続ける中で、参加した子どもの意見を次の企画や運営方法へどう反映するかが、横須賀市のモデル事業を検証する具体的な材料となる。

