1.ヒューマンライツ・ナウは8月6日、韓国のデジタル性暴力対策を扱うオンライン講座を開く。
2.韓国KCSCの担当者が、性的画像の削除・アクセス遮断や拡散防止の制度を解説する。
3.被害者が削除手続を担う日本の支援体制と、行政機関が審議に関与する韓国制度の違いを学ぶ。

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は2026年8月6日、ウェビナー「韓国KCSCに学ぶデジタル性暴力の法規制・支援体制」をZoomで開く。開催時間は午後7時から9時までで、参加費は無料。韓国語と日本語の逐次通訳を付ける。韓国放送メディア通信審議委員会(KCSC)デジタル性犯罪情報審議局拡散防止チーム課長のオ・ヒョンヨン氏が登壇し、性的画像の削除・遮断と拡散防止を担う行政体制を説明する。申込期限は同日午後6時。
デジタル性暴力には、本人の同意を得ない撮影、性的画像の流出や拡散、画像生成技術を用いた性的な合成画像、画像を材料とする脅迫などが含まれる。韓国では、未成年者を含む被害者に性的な映像を制作させ、通信アプリ上で販売した「n番部屋事件」が2020年に摘発され、刑事処罰、被害者支援、通信事業者への規制を組み合わせた制度整備が進んだ。HRNは2025年9月に韓国の関係機関を調査し、2026年3月に法制度と支援体制をまとめた報告書を公表している。
韓国の電気通信事業法は、SNSや動画共有サイトなどの事業者が違法撮影物等の流通を認識した場合、遅滞なく削除やアクセス遮断などの措置を講じるよう定める。対象の画像が違法撮影物に当たるか判断が難しい場合、事業者はKCSCへ審議を求めることができ、違法との通知を受ければ流通防止措置を取らなければならない。KCSCは事前に表現内容を規制するのではなく、投稿後の情報を審議する機関として、削除支援と通信事業者の対応を結ぶ役割を担う。
被害者支援では、韓国政府が2018年にデジタル性犯罪被害者支援センターを設け、相談、画像の削除、証拠収集、捜査・裁判手続、削除後の監視を一体的に提供している。性的画像は一度投稿されると複製や再投稿が続くため、被害者が自ら画像を探し、各サイトへ個別に削除を求める方法では、心理的負担と費用負担が重なる。韓国の制度は、削除を被害者個人の作業にせず、公的機関と通信事業者の責任として扱う点に特徴がある。
日本にも、性的姿態を同意なく撮影・提供する行為を処罰する法律や、私事性的画像の提供による被害を防ぐ法律がある。性的画像の削除については、法務局が事案に応じてプロバイダーへ削除要請を行うほか、違法・有害情報相談センターや民間のセーフラインが相談や削除依頼を受け付けている。ただし、窓口が複数に分かれ、海外サイトや繰り返される再投稿への対応では民間支援団体の負担も大きい。HRNは、韓国のように法規制、行政審議、削除支援を接続する公的体制を日本でも整備するよう訴えている。
性的画像の拡散は、プライバシーの侵害だけでなく、被害者の性的自己決定、尊厳、教育や就労を続ける生活基盤にも影響する。刑事処罰だけでは、既に流通した画像や複製を消すことはできない。8月6日のウェビナーでは、KCSCが違法性を審議し、通信事業者の削除・遮断へ結び付ける仕組みを通じ、日本で誰が削除を担い、再投稿をどの段階で防ぐのかが検討される。
認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ「【8/6木ウェビナー】韓国KCSCに学ぶデジタル性暴力の法規制・支援体制」
URL:https://hrn.or.jp/news/29229/
参考 ヒューマンライツ・ナウ「韓国におけるデジタル性暴力の法規制・支援体制に関する調査報告書」
URL:https://hrn.or.jp/news/28822/
参考 内閣府男女共同参画局「性犯罪・性暴力相談窓口」
URL:https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/avjk/consultation.html

