1. 小樽市は、いじめを被害児童生徒が心身の苦痛を感じる行為と捉え、けんかやふざけ合いも実態に即して判断する。
2. 2024年9月の改定では、「いじめ見逃しゼロ」、生命の安全教育、性的マイノリティなどへの組織的支援を盛り込んだ。
3. いじめの解消には、行為が少なくとも3か月止まり、被害児童生徒が苦痛を感じていないことの確認が必要となる。

小樽市と小樽市教育委員会が現在公開する「小樽市いじめ防止基本方針」は、2024年9月に改定された。2013年6月成立のいじめ防止対策推進法を受け、小樽市は2015年3月に小樽市いじめ防止対策推進条例を制定し、同年4月に基本方針を策定した。今回掲載されている改定版は、北海道が2023年3月に北海道いじめ防止基本方針を見直したことを受け、国、道、市町村、学校、地域の連携と組織的対応を市の施策に反映したものだ。
条例は、インターネット上の行為を含め、一定の人的関係にある児童生徒から心理的または物理的な影響を受け、対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものを「いじめ」と定義する。基本方針は、表面的、形式的な判断を避けるよう明記した。けんかやふざけ合いに見える行為でも、見えない場所で被害が生じていないかを調べ、児童生徒本人が感じる被害に着目する。善意から出た言動や、直後に謝罪して関係が修復された場合も、法令上はいじめに該当し得るため、学校いじめ対策組織で情報を共有する。
2024年9月改定版は、「いじめは、どの子どもにも、どの学校にも起こりうる」との認識に立ち、「いじめ見逃しゼロ」に向けた積極的な認知を掲げた。各市立学校には、学期ごとのアンケート調査、教育相談、スクールカウンセラーによる全員対象の個別面接、ネットパトロールなどを通じ、児童生徒が被害を訴えやすい体制を整えるとしている。教職員が一人で問題を抱え込まず、学校いじめ対策組織が事実確認、支援方針、役割分担を決定する仕組みも示した。
配慮の対象は、性的マイノリティの児童生徒、発達障害や精神疾患、健康上の課題がある児童生徒、経済的困難や家庭内での過重な負担を抱える児童生徒、外国につながりのある児童生徒、被災した児童生徒などに及ぶ。支援に際してはプライバシーを守り、本人の特性や家庭状況を踏まえて、保護者との連携や周囲の児童生徒への指導を組織的に進める。特定の属性や家庭環境が、からかいや排除の理由とされない学校環境をつくることは、差別を受けずに教育を受ける権利と児童生徒の尊厳を保障する取組でもある。
基本方針は、謝罪だけでいじめを解消したとは扱わない。行為が少なくとも3か月止まっていることに加え、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないことを、本人と保護者への面談などで確認する。重大事態についても、年間30日の欠席を機械的な基準とはせず、児童生徒や保護者から申立てがあれば、学校側の当初認識にかかわらず重大事態として扱うとしている。小樽市教育委員会には、各市立学校の相談窓口と学校いじめ対策組織を児童生徒に分かる形で周知し、学期ごとの調査で得た情報を被害児童生徒の継続的な保護につなげる運用が必要になる。
小樽市「小樽市いじめ防止対策推進条例・小樽市いじめ防止基本方針」
URL:https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020110900777/
小樽市・小樽市教育委員会「小樽市いじめ防止基本方針(令和6年9月改定)」
URL:https://www.city.otaru.lg.jp/docs/2020110900777/file_contents/R6_ijime01.pdf
北海道教育委員会「北海道いじめ防止基本方針(令和5年3月改定)」
URL:https://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/joreinew.html

