川崎市精神科病院虐待窓口71件、身体拘束など4件認定

この記事のポイント

1.川崎市の精神科病院虐待対応窓口が2025年度に受け付けた通報・届出は71件だった。
2.正当な理由のない身体拘束など、身体的虐待3件と心理的虐待1件を認定した。
3.市は認定した4件すべてで調査を行い、病院側に改善計画の提出を求めた。

川崎市役所の画像

川崎市は2026年7月22日、「川崎市精神科病院虐待対応窓口」が2025年4月1日から2026年3月31日までに受け付けた通報・届出の状況を公表した。受付は計71件で、虐待を発見した人からの通報が18件、入院患者本人からの届出が53件だった。市は調査を経て4件を虐待と認定し、内訳を身体的虐待3件、心理的虐待1件とした。

認定事案には、正当な理由のない身体拘束、患者の人格をおとしめる発言、乱暴な扱い、代替方法を検討しないまま行った不適切な行為が含まれる。被虐待者は男性3人、女性1人。虐待を行った業務従事者の主な職種は看護師1人、准看護師2人、看護助手1人だった。川崎市は4件すべてで報告徴収、診療録などの提出命令と検査、患者・関係者への質問、改善計画の提出要求を実施し、3件では精神保健指定医が患者を診察した。改善計画の変更命令や医療提供の制限命令はなかった。

制度初年度に当たる2024年度の川崎市の受付は99件で、通報16件、届出83件、虐待認定は1件だった。2025年度は受付総数が28件減ったが、認定件数は1件から4件へ増えた。ただし、受付件数は行政窓口に寄せられた情報の総数であり、そのまま市内精神科病院で生じた虐待件数を示すものではない。認定件数の変化についても、実際の発生状況と通報・調査の状況を区別して読む必要がある。

精神科病院での虐待通報制度は、2022年の精神保健福祉法改正を受け、2024年4月に施行された。虐待を受けたと思われる患者を発見した人には都道府県・指定都市への通報義務があり、患者本人も届け出ることができる。病院の業務従事者は、通報を理由とする解雇などの不利益な扱いを受けない。厚生労働省の2024年度全国集計では、発見者による通報・相談が1,514件、患者本人による届出・相談が4,744件あり、260件、413人について虐待が認定された。全国値は「相談」を含むため、川崎市の71件とは単純に比較できない。

精神科病院の入院患者は、治療だけでなく日常生活の多くを病院職員に委ねる。職員との力関係が固定されやすい環境では、外部窓口への通報、行政による事実確認、改善後の検証が、患者の尊厳と身体の自由を守る手続となる。今回、川崎市は認定した4件すべてで改善計画の提出を求めた。次年度以降の公表では、同種行為の再発防止策が院内で機能したかを継続して検証する必要がある。川崎市精神科病院虐待対応窓口は、精神保健課で電話044-200-2683、メール40seisin@city.kawasaki.jpにより通報・届出を受け付けている。

出典

川崎市「令和7年度 川崎市精神科病院虐待対応窓口の状況について」
URL:https://www.city.kawasaki.jp/templates/prs/cmsfiles/contents/0000188/188767/seisin.pdf

川崎市「令和6年度 川崎市精神科病院虐待対応窓口の状況について」
URL:https://www.city.kawasaki.jp/templates/prs/cmsfiles/contents/0000177/177625/houdouhaltupyou.pdf

厚生労働省「精神科病院における業務従事者による障害者虐待の状況等について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68786.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

人権ニュース編集部をフォローする
福祉司法・制度
シェアする
タイトルとURLをコピーしました