1.アムネスティは、スリランカの民間茶農園で働くマライヤハ・タミルの人びとが強制労働にさらされているとする報告書を公表した。
2.調査は2024年1月から2026年1月にかけ、南部州ゴール県とマタラ県の45農園で実施された。
3.暴行、賃金不払い、借金による束縛、移動制限、劣悪な住環境などが、労働権と人種差別の問題として問われている。

アムネスティ・インターナショナル日本は6月3日、スリランカの民間茶農園や小規模農園で働くマライヤハ・タミルの人びとが、国際労働機関(ILO)の強制労働指標の多くに該当する人権侵害にさらされているとする国際事務局発表ニュースを掲載した。報告書は、国内法上の労働者保護が十分に及ばず、労働者が暴行、賃金不払い、借金による束縛、移動制限、劣悪な生活・労働環境に置かれていると指摘している。
マライヤハ・タミルの人びとは、19世紀初頭、英国の植民地政策の下で、茶畑の労働力としてインド南部からスリランカに連れてこられた労働者の子孫とされる。アムネスティは、こうした歴史的背景に加え、長年にわたる構造的な人種差別と社会的排斥が、現在の搾取を生み出す要因になっていると説明している。茶農園での問題は、単なる労使紛争ではなく、民族的背景、貧困、住居、労働、司法アクセスが重なる人権課題である。
報告書は、2024年1月から2026年1月にかけて行われた調査に基づく。アムネスティは、スリランカ南部州のゴール県とマタラ県にある45の茶農園を訪れ、159人の労働者、2人の茶農園管理者、3人の監督者に聞き取りを行った。さらに、65人の労働者に対し、15回のグループ聞き取りも実施した。訪問した45農園すべてで、労働者は雇い主から住居を与えられており、退去への不安を抱えながら生活していたという。
労働現場では、非現実的な収穫目標が搾取の仕組みとして使われている。アムネスティによると、45農園のうち27農園が、労働者に1日25キログラム以上の茶を摘むよう命じていた。目標を達成できない場合、日当1,000スリランカ・ルピーの減額や支払い遅延が生じるとされる。生活費を補うために前払い賃金やローンへ依存すれば、借金が膨らみ、雇用主から離れにくくなる。
権利救済の面でも課題は重い。アムネスティは、労働者が「臨時労働者」と不当に分類され、産前産後手当、年金、病気休暇などの給付を受けにくい状況に置かれていると指摘した。担当官が労働者の言語を理解しないことによる言葉の壁、行政職員による差別的扱い、雇用関係書類の不足、労働組合活動の不在も挙げている。
この報告は、紅茶の供給網に関わるビジネスと人権の問題でもある。農園労働者の低賃金や住環境、移動制限が見過ごされたまま国際市場に商品が流通すれば、消費地の企業や小売、輸入事業者も、人権デュー・ディリジェンスの観点から自社の調達先を点検する必要が生じる。アムネスティはスリランカ当局に対し、茶農園への立入検査、労働権侵害の調査、責任者の訴追、労働者への実効的救済を求めている。
アムネスティ・インターナショナル日本
URL:https://www.amnesty.or.jp/news/2026/0603_11000.html

