出入国在留管理庁は2026年3月27日、令和7年(2025年)における難民認定者数等の状況を公表した。難民認定申請者数は11,298人で、前年より1,075人、率にして約8.7%減少した。一方、難民として認定された人数は187人にとどまり、難民申請の多さと実際の認定数との間には引き続き大きな開きがある。難民認定制度は、迫害を受けるおそれのある人を国際条約と国内法に基づいて保護する仕組みであり、入管行政の中でも人権保障と深く関わる分野である。
今回の統計では、補完的保護対象者認定申請者数が311人となり、前年から962人、約75.6%減少した。補完的保護対象者制度は、難民条約上の難民には該当しないものの、紛争や重大な人権侵害などを理由に本国へ帰ることが困難な人を保護するため、改正入管法により創設された制度である。ウクライナ情勢などを背景に制度の役割が注目されてきたが、申請数の大幅な減少は、対象者の状況変化だけでなく、制度の周知、利用しやすさ、申請実務の分かりやすさといった点も検証する必要がある。
審査請求件数は7,702人となり、前年から大きく増加した。これは、難民不認定などの判断に対して不服を申し立てる人が増えていることを示す。難民認定手続では、申請者が母国で受けた迫害の事実、将来の危険性、出身国の政治・社会状況などを丁寧に把握する必要がある。しかし、言語の壁、証拠資料の不足、支援者へのアクセスの難しさ、長期化する審査期間は、申請者に大きな負担を与える。制度の信頼性を高めるには、判断基準の透明性と、申請者が適切に主張・立証できる環境の整備が欠かせない。
人権の観点から見ると、難民認定制度は、単なる在留管理や国境管理の問題ではない。迫害や紛争から逃れてきた人が、安全に暮らし、医療、教育、就労、住居、地域生活にアクセスできるかどうかに直結する。認定の有無や手続の長期化は、本人だけでなく、家族や子どもの生活にも影響する。特に、子どもを伴う申請者や、心身に傷を負った人、言語的・経済的に孤立しやすい人については、法的判断と生活支援を切り離さずに考える必要がある。
今回の統計は、難民認定申請者数が依然として1万人を超える一方、認定や補完的保護の運用をめぐる課題が続いていることを示している。自治体、支援団体、教育機関、医療・福祉関係者にとっては、難民・庇護希望者を「入管手続中の外国人」としてだけでなく、地域で生活する人として支える視点が求められる。国際情勢が不安定化する中、日本の難民保護制度が、迅速性、公平性、透明性を備えたものとして機能するかが引き続き問われている。

