
姫路市は、市役所1階ロビーで「ひめじはーとふるSHOP」を開催している。市内の障害福祉サービス事業所等が作製した物品を展示・販売する取組で、実施日は祝日・休日を除く月曜日から金曜日まで、時間は午前10時から午後2時まで。場所は市役所1階ロビーの西玄関を入ってすぐ右側で、出店する事業所や販売品目は日によって異なる。雑貨、花、革製品、弁当、パンなど、各事業所の特色を生かした商品が並ぶ。
この事業の目的は、市民が障害のある人や障害福祉サービス事業所への理解を深めること、事業所で作製された物品等の販売を促進すること、さらに障害のある人が接客に携わることで接遇や販売技術を身に付け、就労意欲を高めることにある。販売益は障害福祉事業所の売上に計上され、利用者本人に工賃として還元される。市役所という多くの市民が訪れる場所で販売機会を設けることは、福祉施設の活動を地域に開き、障害のある人の働く姿を日常の中で見える化する取組といえる。
障害福祉分野では、就労継続支援などを通じて、一般就労が難しい人にも働く機会や社会参加の場を確保することが重視されている。一方で、福祉的就労における工賃の低さ、販路の確保、地域社会との接点不足は、全国的な課題となってきた。市役所ロビーでの定期販売は、単なる物販ではなく、利用者の工賃向上、販売経験の蓄積、事業所商品の認知度向上を結び付ける実践である。行政庁舎を販売拠点として活用する点にも、地方公共団体による障害者就労支援の具体的な意義がある。
また、姫路市は2025年9月20日から、姫路城前の民間店舗で委託販売も開始している。観光地に近い場所で障害福祉事業所の商品を扱うことは、市民だけでなく観光客にも事業所の活動を知ってもらう機会となる。福祉製品の販路を行政施設内に限定せず、民間店舗や地域商業と結び付けることは、障害者支援を福祉の枠内に閉じ込めず、地域経済や観光、まちづくりの中に位置付ける試みでもある。
人権の観点から重要なのは、障害のある人を「支援される存在」としてのみ捉えるのではなく、働き、接客し、商品を通じて地域と関わる主体として位置付けることである。障害者差別の解消や合理的配慮の推進には、制度整備だけでなく、地域住民が日常的に障害のある人の活動に触れ、理解を深める機会が欠かせない。「ひめじはーとふるSHOP」は、市民の購入行動が障害福祉事業所の売上や利用者の工賃につながる仕組みであり、買い物を通じて地域の包摂を支える入口となる。

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