1. 岐阜県教育委員会は、盗撮目的で女性従業員にスマートフォンを向けた小学校教諭を懲戒免職とした。
2. 県教委の処分指針では、盗撮行為の標準的な処分を免職、停職または減給としている。
3. 店舗の業態や従業員の職業は撮影への同意を意味せず、意思に反して性的な姿を撮影されない権利が問題となる。

岐阜県教育委員会は6月19日、各務原市立那加第一小学校の浅野彰教諭(59歳・男性)を懲戒免職とした。県教委が6月22日に公表した資料によると、浅野教諭は2025年12月14日、埼玉県内の風俗店で女性従業員を盗撮する目的で、動画撮影状態にしたスマートフォンを同従業員へ向けた。
処分の根拠は、地方公務員法第29条第1項第1号と第3号。法令や規程に違反した場合と、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」があった場合に、任命権者が懲戒処分を行えるとする規定である。各務原市教育委員会は、同校の校長についても文書による厳重注意とした。撮影されたデータの有無、事案が発覚した経緯、刑事手続の状況は、公表資料に記載されていない。
岐阜県教育委員会が2026年3月4日に改正した「懲戒処分の指針」は、公務外の非行として、痴漢、のぞきまたは盗撮をした教職員の標準的な処分を「免職、停職又は減給」と定める。今回の免職は、この範囲で最も重い処分となる。指針は処分量定に当たり、行為の状況と結果、故意または過失の程度、教職員の職責、社会に与える影響、過去の処分歴、行為後の対応などを総合的に判断するとしているが、県の発表資料は免職を選択した具体的な判断過程までは示していない。
教職員による盗撮を免職とする処分は、ほかの教育委員会でも確認できる。大阪府教育委員会は5月29日、2025年4月ごろから2026年4月ごろまで女性のスカート内を延べ10回程度盗撮した岸和田市立中学校の教諭を免職とした。ただし、大阪府の事案は複数回の撮影が明記されており、行為の回数や態様が公表されていない岐阜県の事案と処分量定を単純には比較できない。
盗撮をめぐる人権上の核心は、本人の意思に反して性的な姿を撮影されず、その記録を他人に見られない利益にある。法務省も、性的姿態撮影等処罰法について、この権利利益を守るための法律と説明している。今回の行為に同法が適用されたかどうかは公表資料から確認できないが、風俗店の従業員であることや、性的サービスに従事していることが、写真や動画の撮影に同意したことを意味するものではない。
今回の処分は勤務先の児童を対象とした事案ではないものの、教職員の公務外の行為も、被害者の尊厳を侵害し、教育への信頼を損なう場合には懲戒の対象となることを示した。岐阜県教育委員会と各務原市教育委員会には、浅野教諭の免職と校長への文書厳重注意を処分だけで終わらせず、撮影への同意と被害者の職業を切り離して理解する服務研修へ反映する対応が必要となる。
岐阜県「教職員の懲戒処分について」
URL:https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/503815.pdf

