1.関心のある人権課題は「インターネットによる人権侵害」が43.4%で最多となった
2.ヘイトスピーチを見聞きした人の32.7%が「特段問題ない」、31.6%が「不愉快で許せない」と回答した
3.啓発行事への参加意向は低い一方、学校で現代の人権問題を教える施策には40.0%が賛同した

東京都総務局は2026年7月29日、令和7年度「人権に関する都民の意識調査」の結果を公表した。調査は1月5日から19日まで、都内在住の18歳以上5,000人を対象にインターネットで実施した。関心のある課題は「インターネットによる人権侵害」が43.4%で最多となり、「プライバシーや個人情報の流出・漏えい」41.2%、「セクハラやパワハラなどのハラスメント」34.6%が続いた。
ネット上で特に問題だとする事柄は「誹謗中傷する表現の掲載」52.8%、「他人のプライバシーの無断掲載」45.3%だった。解決策では「違法な情報発信者に対する取締り強化」が53.5%、「国の人権擁護機関を通じた削除要請」が43.3%となった。都民の関心は情報モラルだけでなく、削除、取締り、相談といった被害回復の仕組みに向いている。
ヘイトスピーチを伴うデモや街宣活動などを見聞きした2,965人への複数回答では、「いろいろな考え方、受け止め方がありうるので特段問題ない」が32.7%、「不愉快で許せない」が31.6%とほぼ並んだ。複数回答のため両方を選んだ回答者がいる可能性はあるが、差別的言動を権利侵害として認識する層と、意見の一種として扱う層が併存する結果と読める。同和問題(部落差別)を「知らない」とした人も22.5%に上り、結婚を親族に強く反対された場合の対応では「わからない」が42.9%を占めた。
制度の周知にも隔たりがある。「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を知る人は17.8%、東京都アライマークは20.0%にとどまった。犯罪被害者や遺族の相談窓口を一つも知らない人は56.8%だった。制度や窓口が存在しても、名称や利用先が届かなければ、被害時の相談や救済には結び付きにくい。
調査は住民基本台帳からの無作為抽出ではなく、インターネットモニターを用い、20代から70歳以上までの年齢層と男女比をおおむね均等に配分している。このため、数値は東京都の実際の人口構成をそのまま反映した推計ではなく、回答者5,000人の傾向として読む必要がある。
啓発イベントや学習会に「参加したいとは思わない」とした人は56.6%だった一方、都が力を入れる施策では「学校で現代の社会における人権問題を教える」が40.0%で最多だった。効果的な啓発手段はテレビ・ラジオ35.3%、インターネットのニュース記事25.3%、SNS21.8%とされた。東京都総務局人権部が調査結果を施策の基礎資料として活用する際、学校教育、デジタル媒体、相談窓口の周知を別々に扱わず、接点を重ねる設計が課題となる。
東京都「人権に関する都民の意識調査」結果について
URL:https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/07/2026072904
東京都「人権に関する都民の意識調査 概要版」
URL:https://www.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tosei/20260729_08_01

