治療と仕事の両立支援、企業横断勉強会「BEYOND」始動

この記事のポイント

1.明治安田総合研究所とアステラス製薬の有志が、企業横断型勉強会「BEYOND」を立ち上げた
2.改正労働施策総合推進法により、治療と就業の両立支援が2026年4月から事業主の努力義務となった
3.相談窓口や休暇制度だけでなく、個人情報の管理と個別の支援計画が実務上の課題となる

BEYOND~Bridging Empowerment and Yourself, Opening New Dialogue~

明治安田総合研究所とアステラス製薬の有志を中心とする「企業で働く人のための治療と仕事の両立支援勉強会『BEYOND』」が発足した。第1期は2026年8月から2027年3月までの全4回。企業の人事・労務担当者らが、両立支援の制度設計や個別対応を企業横断で学び、各社の職場で実践できる支援策につなげる。

制度上の転機は2026年4月1日である。改正労働施策総合推進法により、疾病を抱える労働者の治療と就業の両立を支える取組が事業主の努力義務となり、厚生労働省は同年の告示第28号で「治療と就業の両立支援指針」を定めた。対象は雇用形態を問わず全ての労働者で、医師が反復・継続した治療を要すると判断した疾病や負傷を含む。事業主には、方針の表明、研修、相談窓口、情報管理、休暇・勤務制度の整備などを平時から進める枠組みが示されている。

努力義務化は、労働者に特定の勤務制度を一律に請求できる権利を直ちに付与するものではない。他方、病名だけを理由に安易に就業を禁じず、本人の申出と主治医・産業医等の意見を踏まえ、配置転換、勤務時間の短縮、在宅勤務、試し出勤などを検討することが指針に盛り込まれた。指針では、就業継続や職場復帰の可否と措置内容を事業主が最終判断し、治療経過に応じて支援計画を見直す流れも示した。時間単位の年次有給休暇、傷病休暇、時差出勤、短時間勤務など、利用できる選択肢が就業規則上明確でなければ、個別調整は担当者の裁量に偏りやすい。健康情報は機微性が高く、相談した事実や病状が本人の同意なく広がれば、申出をためらわせる。相談窓口の設置と同時に、情報を扱う範囲、役割分担、不利益な取扱いを防ぐ手順を具体化する必要がある。

BEYONDは、両立支援コーディネーターなどの資格を持つ社員が、社内で知識や経験を十分に生かせていないという課題認識から企画された。初回は社会保険労務士による講義とグループワークを組み合わせ、他社事例や現場の悩みを共有する。制度を置くだけでなく、上司、人事、産業保健職、主治医の連携をどう動かすかを学ぶ構成で、第1回の募集は既に終了している。

治療と仕事の両立は、雇用の継続、所得、キャリア形成、私生活の安定に直結する。明治安田総合研究所は勉強会を支援し、アステラス製薬を含む参加企業の有志は2027年3月まで4回の対話を重ねる。BEYONDが各社の規程や相談フローにどのような修正をもたらしたかまで共有できれば、2026年4月に始まった努力義務を現場の運用へ移す実践例となる。

出典

明治安田総合研究所「企業で働く人のための治療と仕事の両立支援勉強会『BEYOND』」
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000125501.html

厚生労働省「治療と就業の両立支援指針(概要)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001666823.pdf

厚生労働省「治療と仕事の両立について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html

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