1.京都市が、市内の介護施設・事業所で認知症介護を担うリーダー職員向け研修の募集を開始した。
2.研修は講義・演習8日間と約4週間の自施設実習で構成され、申込期限は7月10日午後5時となる。
3.本人の尊厳や意思決定を尊重し、事業所全体で認知症ケアを改善するリーダーの養成が柱となる。

京都市は6月22日、市内の介護保険施設・事業所で認知症介護に携わる職員を対象に、2026年度の「京都市認知症介護実践研修(実践リーダー研修)」の受講者募集を始めた。研修は社会福祉法人京都市社会福祉協議会が受託し、京都市長寿すこやかセンターが運営する。申込期限は7月10日午後5時、受講料は1万5,000円。講義・演習は8月21日から10月14日までの8日間で、この間に約4週間の自施設実習を組み込む。
対象は、6月1日現在で介護現場の経験が5年以上あり、施設や事業所でケアチームのリーダーを務めるか、就任予定の介護職員。認知症介護実践者研修の修了から1年以上経過していることも要件となる。経過措置として、介護福祉士資格の取得後10年以上、かつ1,800日以上の介護実務経験を持つ職員も、2027年3月31日までは受講できる。申込み時点で京都市外の事業所に勤務する人や、研修中に離職・市外異動となった人は対象外とされている。
研修の目的は、個々の職員の技術向上だけではない。事業所全体で認知症を理解し、本人主体の介護と生活の質の向上につなげ、行動・心理症状(BPSD)の背景をチームで検討できる体制をつくる点にある。現場のリーダーには、職員間でケア方針が分かれた場合の調整、本人の意思や生活歴の共有、家族や地域の関係機関との連携など、組織的な役割が伴う。研修で得た知識を自施設実習に結び付ける構成は、講義を受けて終わるのではなく、勤務先のケアを検証する仕組みでもある。
厚生労働省は2026年3月31日付の通知で、認知症介護実践リーダー研修の狙いに、本人と家族が尊厳を保持し、希望を持って暮らせることや、共生社会に向けた地域の認知症ケアの質向上を明記した。改定後の標準カリキュラムには、認知症ケアの倫理、本人の意思決定支援、権利擁護、高齢者虐待や身体拘束の防止も盛り込まれている。介護する側が安全や業務効率だけで方針を決めず、本人が何を望み、どの能力を保っているかを確認することが、研修を人権保障につなげる前提となる。
従来の規定による研修内容は2027年3月31日まで認められており、現在はカリキュラムの移行期に当たる。BPSDを単に抑える対象として扱えば、本人の意思や生活環境、痛みや不安といった行動の背景が見落とされかねない。京都市内の各事業所には、受講者を送り出すだけでなく、約4週間の実習時間を確保し、受講後に本人主体のケア方針を職員間で共有できる体制を整える対応が必要となる。
京都市「令和8年度京都市認知症介護実践研修(実践リーダー研修)の実施について」
URL:https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000355164.html
参考 京都市長寿すこやかセンター「令和8年度京都市認知症介護実践研修 年間スケジュール」
URL:https://sukoyaka.hitomachi-kyoto.jp/images/%E3%80%902.19%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%80%91%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%98%E5%B9%B4%E5%BA%A6-%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E7%A0%94%E4%BF%AE-%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB-.pdf
参考 厚生労働省「認知症介護実践者等養成事業の実施について」
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/001684111.pdf

