奈良県、公正採用選考研修会 部落差別解消推進法10年を検証

この記事のポイント

1.奈良県と奈良労働局が9月1日、企業の経営者や人事担当者を対象とする公正採用選考研修会を開く。
2.奈良労働局による制度説明と映像上映に続き、部落地名総鑑事件を踏まえた講演を行う。
3.部落差別解消推進法の施行10年を機に、応募者の適性・能力と無関係な情報を採用判断から排除する実務を確認する。

奈良県のサムネイル

奈良県と奈良労働局は2026年9月1日、橿原市の奈良県社会福祉総合センターで「令和8年度企業主人権・同和問題研修会・公正採用選考研修会」を開催する。時間は午後2時から4時30分まで。企業経営者、公正採用選考人権啓発推進員、人事担当責任者、関係団体などを対象に、採用選考と部落差別の関係を取り上げる。

第1部では、奈良労働局職業安定部職業対策課が「公正な採用選考をめざして」と題して説明し、DVD「未来への責任~公正な採用選考~」を上映する。第2部は、公正採用人権啓発推進センター講師の木村健一氏が「公正採用選考を考える~部落差別解消推進法10年を迎えて~」をテーマに講演する。奈良県は、部落地名総鑑事件など過去の事案を振り返り、企業が採用活動で守るべき基準を改めて考える内容としている。

公正な採用選考の基本は、応募者の基本的人権を尊重し、本人の適性と能力を基準に判断することにある。厚生労働省は、本籍や出生地、家族の職業・収入、住宅状況、生活環境などの把握は、本人に責任のない事項を採否に持ち込む行為になり得ると説明している。宗教、支持政党、人生観、愛読書など、思想・信条に関わる質問や、身元調査の実施も就職差別につながるおそれがある。

2016年12月16日に施行された部落差別解消推進法は、現在も部落差別が存在すると明記し、国と地方公共団体に相談体制の充実、教育・啓発、実態調査を課した。法務省は、同和地区の出身であることを理由とした結婚・就職上の差別や、インターネット上の差別的な書き込みが残っていると説明している。法律の施行から10年となる2026年の研修は、制度の周知だけでなく、過去の差別が採用実務の中でどのように生じたかを検証する機会となる。

採用担当者が差別する意図を持っていなくても、面接の緊張を和らげるために家族構成や出身地を尋ねれば、その回答が評価に影響する可能性がある。質問票、応募書類、面接項目、健康診断、個人情報の取得範囲を事前に点検し、職務上必要な能力との関係を説明できない項目を除くことが実務上の対応となる。

会場は奈良県社会福祉総合センター6階大ホール(橿原市大久保町320番地の11)。受付は午後1時30分から開始する。参加申込みは奈良県の案内ページから奈良スーパーアプリを通じて受け付ける。問い合わせ先は奈良県産業部経営支援課で、電話番号は0742-27-8804。

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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