認定NPO法人ReBitは2026年3月4日、日本公認会計士協会東京会の会員を対象に、LGBTQに関するオンライン研修を実施した。研修では、多様化するビジネス環境の中で、性的指向・性自認に関する正しい理解や適切なコミュニケーションが、職場のガバナンス、コンプライアンス、ハラスメント防止に直結する課題であることを確認した。専門職団体の会員向けに実施された点は、LGBTQ施策が一部企業のダイバーシティ推進にとどまらず、職業倫理や組織運営にも関わるテーマとして広がっていることを示している。
研修の前半では、SOGI、すなわち性的指向・性自認に関する基礎知識や、近年の法整備、国際的な動向が整理された。また、講師のライフストーリーを通じて、LGBTQの人々が就職活動や職場で直面しやすい葛藤、周囲の理解が本人の安心感や働き続ける力にどのように関わるかが共有された。職場での困難は、制度が存在しないことだけでなく、何気ない発言、性別を前提にした会話、相談しにくい雰囲気など、日常の人間関係の中にも生じる。
後半では、職場における実践的対応として、SOGIハラスメントや無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスが取り上げられた。性的指向や性自認に関する侮辱的な発言、本人の同意なく性的指向や性自認を第三者に伝えるアウティング、性別役割を決めつける言動は、本人の尊厳を傷つけ、職場での心理的安全性を損なう。企業や組織にとっては、ハラスメントを「起きてから対応する」だけでなく、管理職や同僚が予防的に理解し、相談しやすい環境を整えることが不可欠である。
今回の研修では、理解者・応援者を意味する「アライ」としての行動も紹介された。たとえば、性別を決めつけない言葉を選ぶこと、家族構成や恋愛対象を当然視しないこと、差別的な発言を見聞きした際に黙認せず適切に介入することは、日常的に実践できる取組である。制度面では、相談窓口、通称名の使用、服装規定、福利厚生、採用・評価の運用などを点検し、当事者が安心して働ける仕組みを整える必要がある。
公認会計士をはじめとする専門職は、企業の内部統制、リスク管理、コンプライアンスに関わる立場にある。LGBTQをめぐる職場課題を理解することは、自組織の人権対応だけでなく、企業統治やサステナビリティ、人権デュー・ディリジェンスを考える上でも重要性を増している。今回の研修は、性的少数者への理解を「個人の配慮」に委ねるのではなく、組織としての責任と実務対応に結び付ける取組として位置づけられる。
NPO法人ReBit
URL:https://rebitlgbt.org/news/16997/

