アスマーク調査、BtoBカスハラ加害を11.9%が目撃

この記事のポイント

1.アスマークの「Humap」は、全国の有職者1万人を対象にしたカスハラ加害実態調査を公開した。
2.自社社員が取引先などにカスハラを行う場面を見聞きした人は11.9%で、マネージャー層では27.4%に上った。
3.2026年10月のカスハラ対策義務化を前に、企業には「被害者対応」だけでなく「加害防止」の体制整備も問われる。

humapのカスタマーハラスメント(カスハラ)加害の実態調査

株式会社アスマークの従業員総活躍サービス「Humap」は5月19日、全国の有職者10,000人を対象に実施した「カスタマーハラスメント加害の実態調査」のレポートを公開した。調査期間は2026年1月22日から1月28日まで。自営業・自由業を除く有職者を対象に、Webアンケートで実施した。

調査では、この6カ月間に職場で「自社の社員が取引先や関係会社に対してカスハラを行っているのを見聞きしたことがある」と答えた人が11.9%となった。アスマークは「8人に1人」が自社社員による加害を目撃している結果としている。役職別では、マネージャー層の目撃率が27.4%に上り、取引先との交渉や商談の場で部下の行動を把握しやすい立場であることが背景として示されている。

目撃後の対応では、「何もしなかった」が34.8%で最も多く、社内窓口への相談の19.5%を上回った。役職なし層では46.9%、パート・アルバイトでは44.7%が「何もしなかった」と回答しており、組織内で声を上げにくい立場ほど対応に移りにくい傾向が出ている。沈黙の理由としては「相談しても無駄」が44.9%とされ、相談窓口の有無だけでは、現場の抑止力にならない実態も浮かぶ。

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策は全事業主の雇用管理上の措置義務となる。厚生労働省のリーフレットでは、事業主の方針の明確化、相談体制の整備、事後の迅速な対応、相談者のプライバシー保護、不利益取扱いの禁止などが示されている。従来の議論では、顧客や利用者から従業員を守るBtoC型の被害防止が中心に語られやすかったが、今回の調査は、自社社員が取引先に対して加害者となるBtoB型のリスクを可視化している。

人権上の論点は、取引関係の中で働く人の尊厳と安全をどう守るかにある。発注側、元請側、購買担当者、営業担当者などの立場の差は、言動の受け止め方や抗議のしやすさに影響する。取引先から見れば「顧客」であっても、相手方の従業員に暴言、過度な要求、人格を傷つける言動を行えば、職場におけるハラスメント被害を生む。企業の対策は、自社従業員を守るだけでなく、自社従業員が外部の労働者を傷つけないための教育、管理職の介入、通報経路の整備まで含めて設計する必要がある。

アスマークは、調査結果を企業のコンプライアンス・ハラスメント対策パッケージ「CHeck」のベンチマークデータとして位置づけている。2026年10月の義務化を前に、企業の人事・法務・コンプライアンス部門は、株式会社アスマークの調査で示された11.9%という目撃率と、34.8%の沈黙率を、自社の取引現場を点検する材料として扱うことになる。

出典

株式会社アスマーク/PR TIMES
URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000648.000018991.html

人権ニュース編集部

人権ニュース編集部は、官公庁、自治体、企業、公益団体、国際機関等が公表する一次情報をもとに、差別、労働、教育、福祉、司法・制度、外国人共生、ビジネスと人権などに関するニュースと解説を発信しています。掲載内容は、出典確認を行ったうえで、制度的背景や人権上の論点を補足して構成しています。

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